
著者
税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
目次
生前贈与は、将来の相続税負担を軽減するための有効な節税対策です。
生きているうちに財産を家族へ移すことで、相続税の課税対象となる相続財産そのものを減らせる可能性があります。
ただし、2024年の制度改正により、暦年贈与の相続財産への加算期間は段階的に7年へ延長され、相続時精算課税制度には新たに年間110万円の基礎控除が設けられました。
この記事では、暦年贈与110万円、相続時精算課税制度、住宅取得等資金、配偶者控除、結婚・子育て資金、名義預金や定期贈与の注意点まで、国税庁などの一次情報をもとに解説します。
相続税の節税対策全体を確認したい方は「相続税の節税対策を総まとめ」もあわせてご確認ください。
・暦年贈与は受贈者ごとに年間110万円まで基礎控除があります
・相続時精算課税制度は2500万円の特別控除と年110万円の基礎控除を分けて考えます
・2024年以後の暦年贈与は相続財産への加算期間が段階的に7年へ延長されます
・教育資金の一括贈与は2026年3月31日で新規適用が終了しているため注意が必要です
そもそも生前贈与がなぜ相続税の節税につながるのか?

生前贈与が相続税の節税につながる理由は、将来の相続財産を生前に減らせるためです。
相続税は、亡くなった方が遺した財産の総額をもとに計算されます。
そのため、贈与税の非課税枠や特例を使って財産を早めに移しておくと、課税対象となる財産を圧縮できる可能性があります。
一方で、生前贈与は「贈与税を払えば必ず得」という制度ではありません。
贈与税率、相続税率、相続開始前の加算対象、家族構成を比較し、贈与税と相続税をセットで試算することが大切です。
相続と贈与の違いは「相続と贈与の違いを比較」でも詳しく解説しています。
| 節税につながる理由 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続財産を減らせる | 生前に財産を移すことで、将来の相続税の課税対象を圧縮できます。 | 相続開始前の一定期間内の贈与は、相続財産へ加算されることがあります。 |
| 非課税枠を毎年使える | 暦年贈与では受贈者ごとに年間110万円の基礎控除があります。 | 複数人から贈与を受けた場合は、受贈者ごとの合計額で判定します。 |
| 目的別の非課税特例がある | 住宅取得等資金、結婚・子育て資金、配偶者控除などがあります。 | 適用期限、所得要件、申告要件を満たす必要があります。 |
| 将来値上がりする財産を早く移せる | 株式や不動産などを早期に移すことで、将来の値上がり分を移転できる場合があります。 | 評価額や制度選択を誤ると、期待した節税効果が出ないことがあります。 |
【2024年制度改正】生前贈与の節税で利用できる2つの基本制度

生前贈与の基本制度は、主に「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」です。
国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」では、暦年課税は1年間にもらった財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いて計算するとされています。
また、国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」では、相続時精算課税制度の年110万円の基礎控除、2500万円の特別控除、一度選択すると暦年課税へ戻れない点が示されています。
上位記事でも、この2制度の比較は必ず前半に置かれています。
本記事でも、暦年贈与と相続時精算課税制度の違いを最初に整理します。
| 項目 | 暦年贈与 | 相続時精算課税制度 |
|---|---|---|
| 非課税枠 | 受贈者ごとに年間110万円の基礎控除があります。 | 年間110万円の基礎控除に加え、累計2500万円の特別控除があります。 |
| 対象者 | 原則として贈与者・受贈者の年齢制限はありません。 | 原則60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与が対象です。 |
| 申告 | 年間110万円以下なら原則申告不要です。 | 初めて選択する年は届出書の提出が必要です。 110万円を超える贈与では申告も必要です。 |
| 相続税への影響 | 相続開始前の一定期間内の贈与は相続財産へ加算されます。 | 年110万円の基礎控除部分を除き、原則として相続時に精算します。 |
| 制度選択の注意点 | 長期・複数人への少額贈与に向いています。 | 一度選択すると、その贈与者からの贈与について暦年課税に戻れません。 |
暦年贈与|年間110万円の基礎控除でコツコツ節税する方法
暦年贈与は、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から、基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算する制度です。
1年間にもらった財産の合計が110万円以下であれば、原則として贈与税はかからず、申告も不要です。
例えば3人の子にそれぞれ110万円ずつ贈与すれば、年間合計330万円を非課税で移転できます。
ただし、国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除」のとおり、2024年以後の贈与は相続財産への加算期間が段階的に7年へ延長されます。
暦年贈与は、7年加算を見据えて早めに始めることが重要です。
相続時精算課税制度|新設の年110万円控除で大きな財産にも対応
相続時精算課税制度は、原則60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合に選択できる制度です。
累計2500万円までの特別控除があり、2500万円を超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。
2024年からは、特別控除とは別に年間110万円の基礎控除が設けられました。
この年110万円の基礎控除部分は、相続時の加算対象からも外れます。
ただし、相続時精算課税制度は一度選択すると、その贈与者からの贈与について暦年課税に戻れないため、将来の贈与計画まで考えて判断しましょう。
【ケース別】暦年贈与と相続時精算課税制度どちらを選ぶべきか

暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらが有利かは、贈与者の年齢、財産額、贈与する人数、相続税の見込みによって変わります。
上位記事でも「どちらを選ぶべきか」は独立した見出しで扱われており、読者の比較ニーズが強い領域です。
基本的には、長期間かけて複数人へ少額ずつ移すなら暦年贈与、高額財産や値上がり見込み財産を早期に移すなら相続時精算課税制度を検討します。
ただし最終判断は、相続税の見込み額と贈与税の比較で決める必要があります。
| ケース | 向いている制度 | 理由 |
|---|---|---|
| 贈与者が比較的若く、7年以上の期間を見込める | 暦年贈与 | 相続開始前加算の影響を受けにくい期間を確保しやすく、毎年110万円の基礎控除を活かせます。 |
| 子・孫・子の配偶者など複数人へ贈与したい | 暦年贈与 | 基礎控除は受贈者ごとに使えるため、贈与先が多いほど年間の移転額を増やせます。 |
| 不動産や自社株など高額財産を早く移したい | 相続時精算課税制度 | 2500万円の特別控除を使って、大きな財産を一度に移しやすい制度です。 |
| 将来値上がりが見込まれる財産を移したい | 相続時精算課税制度 | 相続時に加算する価額は原則として贈与時の価額のため、値上がり分の移転効果を期待できます。 |
| 今後も同じ贈与者から柔軟に贈与したい | 慎重に比較 | 相続時精算課税を選ぶと暦年課税に戻れないため、長期計画が必要です。 |
暦年贈与が向いている人の特徴
暦年贈与は、長期間にわたって計画的に贈与を続けられる方に向いています。
贈与者が比較的若く、相続開始まで7年以上の期間を見込める場合、相続財産への加算リスクを抑えながら節税効果を積み上げやすくなります。
また、贈与先が子や孫など複数いる場合にも有効です。
基礎控除は受贈者ごとに適用されるため、子、孫、子の配偶者などへ分散すれば、年間110万円の非課税枠を複数人分活用できます。
相続時精算課税制度の利用を検討すべき人の特徴
相続時精算課税制度は、高額な財産を早期に移したい場合や、将来値上がりが見込まれる財産を贈与したい場合に検討します。
不動産、株式、収益物件などは、贈与後の値上がりや収益が受贈者側に移るため、相続財産の増加を抑えられることがあります。
株式の生前贈与は「株式の生前贈与で相続税対策」でも詳しく解説しています。
ただし、相続時精算課税制度は贈与税を先送りする性質もあるため、2500万円の特別控除だけを見て判断せず、相続時に精算される財産額まで確認しましょう。
110万円の基礎控除以外にもある!目的別の生前贈与非課税特例

生前贈与の節税方法は、年間110万円の基礎控除だけではありません。
上位記事でも共通して、住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金、配偶者控除などの目的別非課税制度を一覧化しています。
本記事でも、2026年7月28日時点で使える制度と、すでに新規適用が終了した制度を分けて整理します。
非課税特例は金額が大きい一方、期限、対象者、所得制限、申告書・届出書の提出が必要です。
必ず一次情報で最新の適用期限を確認してから利用しましょう。
| 制度 | 非課税限度額・期限 | 主な対象・注意点 |
|---|---|---|
| 住宅取得等資金贈与の非課税措置 | 省エネ等住宅は最大1000万円、その他住宅は最大500万円。 対象期間は2024年1月1日から2026年12月31日まで。 |
直系尊属から18歳以上の子・孫などへの住宅取得資金が対象です。 翌年3月15日までの申告と一定書類の添付が必要です。 |
| 教育資金の一括贈与の非課税措置 | 最大1500万円。 新規適用は2026年3月31日で終了済み。 |
2026年4月1日以後は新たに制度を使えません。 2026年3月31日までに契約済みの場合は、管理残額や終了時課税を確認します。 |
| 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置 | 最大1000万円。 結婚費用は300万円まで。 期限は2027年3月31日まで。 |
18歳以上50歳未満の子・孫などが対象です。 受贈者の所得要件や使い残しへの課税に注意します。 |
| 贈与税の配偶者控除(おしどり贈与) | 基礎控除110万円とは別に最大2000万円。 合計で最大2110万円まで非課税になる場合があります。 |
婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産または取得資金の贈与が対象です。 同じ配偶者からは一生に一度のみです。 |
一次情報として、住宅取得等資金は国税庁「No.4508」、教育資金は国税庁「No.4510」、結婚・子育て資金は国税庁「No.4511」、配偶者控除は国税庁「No.4452」を確認しています。
制度ごとに申告や添付書類が異なるため、表の内容だけで判断せず、最新の公的情報を確認してください。
【住宅購入】住宅取得等資金贈与の非課税措置
父母や祖父母から子や孫へ、住宅の新築、取得、増改築のための資金を贈与する場合に使える制度です。
国税庁の一次情報では、2024年1月1日から2026年12月31日までの贈与について、省エネ等住宅は最大1000万円、その他住宅は最大500万円まで非課税とされています。
暦年贈与の110万円の基礎控除とも併用できるため、条件を満たせば大きな資金を移せます。
ただし、翌年3月15日までの申告と添付書類が必要です。
【教育費】教育資金の一括贈与の非課税措置
教育資金の一括贈与は、直系尊属から30歳未満の子や孫へ教育資金を贈与する場合、最大1500万円まで非課税とされていた制度です。
ただし、国税庁の一次情報では、対象期間は2013年4月1日から2026年3月31日までとされています。
したがって、2026年7月28日時点では教育資金の一括贈与は新規適用できません。
すでに2026年3月31日までに契約している場合は、教育資金管理契約の終了時、使い残し、相続発生時の課税関係を確認しましょう。
【結婚・育児】結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置
結婚・子育て資金の一括贈与は、18歳以上50歳未満の子や孫などへ、結婚や子育ての資金を一括で贈与する場合に使える制度です。
最大1000万円まで非課税となり、このうち結婚関連費用は300万円までが上限です。
国税庁の一次情報では、制度の期限は2027年3月31日までです。
受贈者の所得要件や使い残しへの課税があるため、資金の使途と管理契約を事前に確認しましょう。
【夫婦間】贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合、基礎控除110万円とは別に最大2000万円の配偶者控除を使えることがあります。
条件を満たせば、合計で最大2110万円まで非課税となる可能性があります。
国税庁の一次情報では、同じ配偶者からは一生に一度だけ適用できるとされています。
適用には贈与税の申告が必要なため、婚姻期間20年以上と居住要件を確認しましょう。
税務署に否認されないために!生前贈与の節税で注意すべき5つのポイント

生前贈与は、形式を整えるだけでは不十分です。
税務署から実態のない贈与と判断されると、贈与したつもりの財産が相続財産に含まれ、追徴課税や相続人間トラブルにつながることがあります。
上位記事でも、名義預金、定期贈与、現金手渡し、遺留分、老後資金は共通して注意点として扱われています。
節税効果を守るには、贈与契約書・銀行振込・受贈者管理をセットで残すことが重要です。
| 注意点 | リスク内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 名義預金 | 子や孫名義の口座でも、実際に親が管理していれば相続財産と判断される可能性があります。 | 通帳、印鑑、キャッシュカードを受贈者が管理し、受贈者が自由に使える状態にします。 |
| 定期贈与 | 毎年同日・同額の贈与が、最初から総額を分割した契約と見られることがあります。 | 毎年その都度、贈与契約書を作成し、金額や時期も機械的に固定しすぎないようにします。 |
| 現金手渡し | 資金移動の証拠が残らず、税務調査で贈与の事実を説明しにくくなります。 | 贈与者口座から受贈者本人名義の口座へ銀行振込を行います。 |
| 遺留分 | 特定の相続人だけに多額の贈与をすると、相続発生後に遺留分侵害額請求の原因になります。 | 相続人全体の取得見込みを確認し、遺言書や生命保険も含めて設計します。 |
| 老後資金不足 | 節税を優先しすぎると、医療費・介護費・生活費が不足することがあります。 | 先に生活資金を確保し、余剰資金の範囲で生前贈与を行います。 |
「名義預金」と判断されないための口座管理方法
子や孫の名義で預金口座を作り、贈与者が入金しているだけでは、名義預金とみなされる可能性があります。
名義預金と判断されると、贈与済みの財産ではなく、亡くなった方の相続財産として扱われるおそれがあります。
対策は、受贈者本人が通帳、印鑑、キャッシュカードを管理し、自由に使える状態にすることです。
贈与を成立させるには、受贈者が財産を支配している実態を残しましょう。
「定期贈与」とみなされないための贈与契約書の作り方
毎年同じ日に同じ金額を贈与し続けると、あらかじめ決まった総額を分割で支払っている定期贈与と判断されるリスクがあります。
例えば、1000万円を10年間にわたり毎年100万円ずつ贈与する契約と見られると、初年度に総額1000万円の贈与があったと扱われる可能性があります。
このリスクを下げるには、贈与のたびに贈与契約書を作成し、贈与者と受贈者の双方が署名・押印します。
贈与契約書の書き方は「贈与契約書の書き方と作成ポイント」で詳しく解説しています。
重要なのは、毎年その都度の贈与意思を明確にすることです。
贈与の証拠を残すための現金手渡しの注意点
現金手渡しによる贈与は、客観的な証拠が残りにくい方法です。
贈与の事実を説明できない場合、税務調査で指摘される可能性があります。
最もわかりやすい対策は、贈与者名義の口座から受贈者本人名義の口座へ銀行振込を行うことです。
振込記録があれば、「いつ」「誰から誰へ」「いくら」移動したかを説明できます。
現金手渡しではなく、銀行振込で証拠を残すことを基本にしましょう。
相続トラブルを回避するための遺留分への配慮
節税目的で特定の相続人にだけ多額の生前贈与をすると、他の相続人の遺留分を侵害することがあります。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障される最低限の取り分です。
遺留分を侵害された相続人は、贈与を受けた人に対して遺留分侵害額請求を行うことがあります。
節税だけでなく、家族関係や遺産分割の見通しも考慮し、相続人全体の納得感を意識した贈与計画を立てましょう。
自分の老後資金を確保しておく重要性
生前贈与は、自分の生活資金を確保したうえで行う必要があります。
相続税の節税を急ぐあまり、医療費、介護費、住居費まで贈与してしまうと、将来の生活が苦しくなるおそれがあります。
まずは老後資金を試算し、必要資金を除いた余剰資金の範囲で贈与額を決めましょう。
無理のない生前贈与の上限額を決めておくことが、長く続けられる節税対策につながります。
生前贈与の節税効果を最大化する具体的な始め方3ステップ

生前贈与は、思いつきで始めるよりも、財産把握、税額試算、契約書作成、銀行振込の順で進めると安全です。
上位記事でも、非課税枠を効果的に使う方法として、複数人への分散贈与や早めの開始が紹介されています。
特に暦年贈与は、1人にまとめて贈与するよりも、複数人に分散した方が贈与税を抑えられる場合があります。
下表は、国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率」の一般贈与財産の税率をもとにした簡易例です。
| 1000万円を贈与する方法 | 課税価格 | 概算の贈与税 |
|---|---|---|
| 1人に1000万円贈与 | 1000万円-110万円=890万円 | 890万円×30%-90万円=177万円 |
| 2人に500万円ずつ贈与 | 各人500万円-110万円=390万円 | 各人48万5000円、合計97万円 |
| 5人に200万円ずつ贈与 | 各人200万円-110万円=90万円 | 各人9万円、合計45万円 |
このように、同じ1000万円でも贈与先を分けると税額が変わります。
ただし、実際の税率は受贈者との関係、特例贈与財産か一般贈与財産か、他の贈与の有無で変わります。
相続税の目安は「相続税計算シミュレーションで税額の目安を解説」も参考にしてください。
ステップ1:贈与する財産と相手、金額を決める
最初に、誰に、どの財産を、いくら贈与するのかを決めます。
現金だけでなく、不動産、有価証券、生命保険、収益物件なども候補になります。
600万円、800万円、1000万円、2000万円を贈与する場合でも、贈与税は一律ではありません。
贈与者と受贈者の関係、制度選択、相続税の見込みによって有利不利が変わります。
まずは財産総額と相続税の見込みを把握しましょう。
ステップ2:毎年必ず贈与契約書を作成する
贈与は口約束でも成立しますが、税務署に説明するには書面の証拠が重要です。
贈与契約書には、贈与日、贈与者、受贈者、財産の内容、金額、贈与方法を記載し、双方が署名・押印します。
毎年贈与する場合でも、契約書は毎年作成しましょう。
これにより、定期贈与ではなく、各年ごとの個別の贈与であることを示しやすくなります。
ステップ3:受贈者名義の口座へ確実に振り込む
贈与を実行するときは、贈与者の口座から受贈者本人名義の口座へ銀行振込で送金します。
振込記録は、贈与の事実を示す客観的な証拠になります。
現金手渡しや、贈与者が受贈者名義の口座を管理し続ける方法は避けましょう。
受贈者が自分で管理する口座に入金し、必要に応じて使っている履歴を残すことで、名義預金リスクを下げられます。
生前贈与の判断や資料整理をまとめて進めたい方へ
生前贈与は、非課税枠を使うだけでなく、相続税申告、遺留分、老後資金、家族間の納得感まで含めて設計する必要があります。
相続アシストでは、財産資料の整理、相続税の見込み、贈与契約書や生前対策の方向性をまとめて相談できます。
制度選択に迷う場合は、生前贈与と相続税を同時に試算してから進めると安心です。
生前贈与の節税に関するよくある質問

生前贈与による節税を検討する方から、よくいただく質問をまとめます。
制度は改正や期限の影響を受けるため、疑問点がある場合は最新の一次情報と個別事情をあわせて確認してください。
Q. 暦年贈与と相続時精算課税制度は、結局どちらが節税になりますか?
どちらが有利かは、財産額、年齢、家族構成、贈与する財産の種類によって変わります。
長期間にわたり複数人へ少額ずつ贈与できるなら暦年贈与が向いています。
高額財産を早期に移したい場合や、相続税がかからない見込みの家庭では相続時精算課税制度が有利になることもあります。
ただし、一度相続時精算課税制度を選ぶと暦年課税へ戻れないため、制度選択前のシミュレーションが重要です。
Q. 年間110万円以下の生前贈与なら贈与税の申告は本当に不要ですか?
暦年贈与では、1年間にもらった財産の合計が110万円以下であれば、原則として贈与税はかからず申告も不要です。
ただし、複数の人から贈与を受けた場合は、その合計額で判断します。
父から100万円、母から100万円を受け取れば、合計200万円となり、110万円を超える部分について申告が必要です。
判断に迷う場合は、受贈者ごとの年間合計額で確認しましょう。
Q. 教育資金の一括贈与は今からでも使えますか?
2026年7月28日時点では、教育資金の一括贈与の非課税措置は新規適用できません。
国税庁の一次情報では、対象期間は2013年4月1日から2026年3月31日までとされています。
すでに期限までに契約済みの場合は、制度終了時や受贈者が30歳になった時点の取扱いを確認します。
今から教育費を支援する場合は、都度払いの扶養義務者間の生活費・教育費や、他の制度を含めて現在使える方法を検討しましょう。
Q. 節税目的の生前贈与で税務署に指摘されないための対策はありますか?
贈与契約書を毎年作成し、銀行振込で証拠を残し、受贈者自身が財産を管理することが基本です。
また、毎年同じ日・同じ金額の贈与を機械的に続けると、定期贈与とみなされるリスクがあります。
贈与のたびに契約書、振込記録、受贈者管理の実態を残し、名義預金と定期贈与のリスクを避けましょう。
専門家があなたの状況を整理する「生前対策診断」とは

生前贈与や相続税対策は、制度が複雑で、家庭ごとに最適な方法が異なります。
財産額、相続人の関係、遺留分、老後資金、将来の相続税申告まで見据えなければ、節税できても家族トラブルが残ることがあります。
「生前対策診断」では、財産状況やご家族の関係、ご本人の希望を整理し、今から取るべき対策を確認できます。
相続税申告や周辺手続きまでまとめて相談したい方は、相続アシストもあわせてご確認ください。
理由1:税務と法務の両面から最適なプランを提案できる
生前贈与は相続税の問題だけではなく、遺留分、遺言、名義変更、家族信託などの法務面とも関係します。
税務だけを見て贈与額を決めると、相続発生後に親族間で争いになることがあります。
専門家に相談すれば、税務と法務の両面から、節税とトラブル予防を同時に検討できます。
理由2:特定の制度に偏らず中立的なアドバイスがもらえる
生前対策には、生前贈与、遺言書、生命保険、家族信託、任意後見など複数の方法があります。
どれが最適かは、ご家庭の財産内容や相続人関係によって変わります。
専門家は、特定の制度ありきではなく、家庭ごとの目的に合う対策を比較して提案できます。
理由3:相続発生後の手続きまで見据えた長期的な設計が可能
生前贈与は、生前の節税だけで完結するものではありません。
相続発生後に、相続税申告、不動産評価、遺産分割、納税資金の準備が必要になることがあります。
相続発生後の節税は「相続発生後の節税対策のポイント」も参考にしてください。
早い段階で相談すれば、相続発生後まで見据えた長期設計がしやすくなります。
まとめ|生前贈与の節税は非課税枠と相続税への影響をセットで確認

生前贈与は、計画的に行えば有効な相続税対策になります。
暦年贈与の年間110万円、相続時精算課税制度の年110万円と2500万円の特別控除、住宅取得等資金、結婚・子育て資金、配偶者控除などを組み合わせることで、財産移転の選択肢は広がります。
一方で、教育資金の一括贈与は2026年3月31日で新規適用が終了しており、暦年贈与には段階的な7年加算、相続時精算課税制度には一度選ぶと暦年課税へ戻れない注意点があります。
名義預金や定期贈与と判断されないためにも、契約書・振込記録・受贈者管理を整えながら進めましょう。
最適な方法は、財産額、家族構成、年齢、相続税の見込みによって異なります。
不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、非課税枠と相続税への影響をセットで確認することが大切です。
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代表 柴田 潤
- 経歴
- 関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
- 一言
- 複雑な相続税申告や手続きは、専門知識と経験が不可欠です。税理士法人SWATSは法律事務所と連携し、安心のワンストップ対応を実現しています。

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