
著者
税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
目次
- 1 遺産分割協議書とは
- 2 遺産分割協議書が必要な場合・不要な場合
- 3 遺産分割協議書を作成する前に確認すべきこと
- 4 遺産分割協議書の書き方と作成手順
- 5 遺産分割協議書のひな形・テンプレート
- 6 遺産分割協議証明書との違い・紛失した場合の対応
- 7 遺産分割協議書の書き方|不動産の記載例・財産別の記載例
- 8 代償分割・換価分割を行う場合の書き方
- 9 相続人に特別な事情がある場合の注意点
- 10 遺産分割協議書が必要となる主な手続き
- 11 相続税申告における遺産分割協議書の注意点
- 12 遺産分割協議書を自分で作成するのが難しい場合の相談先
- 13 複雑な相続手続きをまとめて任せるなら相続アシスト
- 14 遺産分割協議書の書き方でよくある質問
- 15 まとめ
遺産分割協議書は、相続人全員で合意した遺産の分け方を文書化する重要書類です。
特に不動産がある相続では、相続登記や預貯金の解約、相続税申告で提出を求められることが多く、書き方を誤ると手続きが進まないおそれがあります。
この記事では、遺産分割協議書の基本、必要な場合・不要な場合、不動産の記載例、ひな形、作成時の注意点までまとめて解説します。
遺産分割協議書の書き方で先に押さえたいポイント
- 遺産分割協議書は、遺言書がない相続や遺言と異なる分け方をする場合に重要です
- 不動産の記載は、登記事項証明書どおりに書くのが基本です
- 相続税申告が必要な場合、国税庁によると申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です
- 相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です
遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、被相続人の遺産を誰がどのように取得するかについて、相続人全員が合意した内容をまとめた書類です。
法律上、必ず作成しなければならないと定められているわけではありませんが、合意内容を明文化しておくことで、後の相続トラブルを防ぎやすくなります。
また、不動産の名義変更、預貯金の解約、株式の名義変更などの相続手続きでは、遺産分割協議書の提出を求められる場面が少なくありません。
遺産分割協議との違い
遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を話し合う行為そのものを指します。
一方、遺産分割協議書は、その話し合いでまとまった合意内容を証明する文書です。
話し合いだけで書面がないと、後から「そのような合意はしていない」と争いになることがあるため、実務上は協議書の作成が重要になります。
法定相続情報一覧図との違い
遺産分割協議書は「誰が何を相続するか」を示す書類です。
これに対して、法務局の法定相続情報一覧図は「誰が相続人であるか」を証明するための制度です。法務局によると、一覧図の写しは相続登記だけでなく、預金の払戻しや相続税の申告などにも利用できます。
相続関係の整理を効率化したい場合は、法定相続情報証明制度の活用も検討するとよいでしょう。
相続関係説明図の書き方については「相続関係説明図の書き方」で詳しく紹介しています。
遺産分割協議書が必要な場合・不要な場合

遺産分割協議書が必要かどうかは、遺言書の有無や相続人の人数、財産の内容によって異なります。
判断を誤ると、作成が不要だと思っていたのに後から手続きが止まることもあるため、先に全体像を確認しておきましょう。
| ケース | 遺産分割協議書の要否 | 理由 |
|---|---|---|
| 遺言書がなく、相続人が複数いる | 必要 | 誰がどの財産を取得するかを確定させる必要があるため |
| 有効な遺言書があり、その内容どおりに相続する | 原則不要 | 遺言書が分け方を指定しているため |
| 相続人が1人だけである | 不要 | 分ける相手がいないため協議が発生しない |
| 遺言書はあるが、相続人全員で別の分け方に合意する | 必要 | 遺言と異なる合意内容を証明する必要があるため |
遺産分割協議書が必要になる主なケース
典型的なのは、遺言書がなく、相続人が複数いるケースです。
預貯金や不動産などを誰が相続するかを相続人全員で決める必要があるため、合意内容を証明する書類として遺産分割協議書を作成します。
また、遺言書があっても、その内容に記載されていない財産が後から見つかった場合や、相続人全員が遺言と異なる分け方に同意した場合にも、協議書の作成が必要です。
遺産分割協議書が不要な主なケース
法的に有効な遺言書があり、その内容どおりに相続する場合は、原則として遺産分割協議書は不要です。
また、法定相続人が1人だけの場合も、協議そのものが成立しないため不要です。
もっとも、金融機関や個別の手続き先によって必要書類が異なるため、実務では事前確認が欠かせません。
遺産分割協議書を作成する前に確認すべきこと

遺産分割協議書は、いきなり書き始めるのではなく、相続の前提条件を先に固めてから作成することが重要です。
前提が間違っていると、せっかく作った協議書が無効になったり、手続きをやり直すことになったりします。
遺言書の有無を確認する
まず確認したいのが、被相続人が遺言書を残していないかどうかです。
有効な遺言書がある場合、遺産分割協議よりも遺言の内容が優先されるのが原則です。
自宅だけでなく、公証役場や法務局の保管制度も確認しておくと安心です。
遺言書の法的効力については「遺言書の法的効力」で詳しく紹介しています。
法定相続人を確定する
遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければ有効になりません。
そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、誰が法定相続人に当たるのかを確定させる必要があります。
離婚歴や認知した子、代襲相続の有無などによって相続人の範囲が変わることもあるため、思い込みで進めるのは危険です。
相続財産と債務を洗い出す
預貯金、不動産、有価証券、自動車、貴金属などのプラスの財産だけでなく、借入金や未払金といったマイナスの財産も含めて一覧化します。
相続財産を漏れなく把握しておかないと、公平な分割が難しくなるだけでなく、相続税申告でも不備が生じやすくなります。
相続税の申告が必要かどうかについては、国税庁が「取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合に必要」と案内しています。詳しくは国税庁「相続税がかかる場合」をご確認ください。
必要書類を集める
実際の作成と手続きに向けて、戸籍謄本、印鑑証明書、住民票、固定資産評価証明書、登記事項証明書、残高証明書などを準備します。
不動産を記載する場合は、登記事項証明書の表記に合わせるのが基本であるため、早めに取得しておくとスムーズです。
遺産分割協議書の書き方と作成手順

遺産分割協議書の形式に法定のひな形はありません。手書きでもパソコン作成でも構いませんが、手続きで使う前提で、客観的に読んで財産が特定できる書き方にすることが重要です。
ここでは、実務で使いやすい作成手順を順番に解説します。
手順1:作成日を記載する
まず、遺産分割協議書が成立した日付を記載します。
ここで書くのは被相続人の死亡日ではなく、相続人全員で合意が成立した日です。
手順2:被相続人の情報を記載する
被相続人の氏名、最後の住所、本籍、死亡年月日などを記載します。
住民票の除票や戸籍謄本の表記と一致させることが大切です。
略記や通称ではなく、公的書類どおりの表記を使いましょう。
手順3:相続人全員で合意したことを明記する
相続人全員が遺産分割協議を行い、以下の内容に合意したことを本文で示します。
相続人の氏名を個別に本文中へ並べる方法でも、署名欄で明示する方法でも構いませんが、誰が当事者か分かる形にしてください。
手順4:誰がどの財産を取得するか具体的に書く
最も重要なのがこの部分です。
「長男が不動産を相続する」「長女が預貯金を取得する」といった抽象的な書き方ではなく、どの不動産・どの口座・どの株式を誰が取得するのかまで特定できるように書きます。
特に不動産の記載例は、登記事項証明書を見ながら転記するのが基本です。
手順5:後から判明した財産の扱いを定める
相続手続きの途中や完了後に、未把握だった預金や不動産が見つかることは珍しくありません。
そのため、「本協議書に記載のない財産が後日判明した場合は、相続人Aが取得する」または「法定相続分に従って分割する」といった条項を入れておくと、再協議の手間を減らせます。
手順6:署名押印を行う
最後に、相続人全員が自署し、実印で押印します。
印鑑証明書の添付を求められることが一般的で、1人でも欠けると協議書は無効になるおそれがあります。
複数ページになる場合は、契印や割印で改ざん防止をしておくと実務上安心です。
遺産分割協議書のひな形・テンプレート

以下は、一般的な相続で使いやすい遺産分割協議書のひな形です。
実際には財産の内容や相続人の構成によって修正が必要になるため、そのまま使うのではなく、各項目を確認しながら調整してください。
遺産分割協議書 被相続人〇〇〇〇(令和〇年〇月〇日死亡、本籍〇〇、最後の住所〇〇)の遺産について、 相続人全員で遺産分割協議を行った結果、次のとおり合意した。 1. 相続人〇〇〇〇は、次の不動産を取得する。 所在: 地番: 地目: 地積: 所在: 家屋番号: 種類: 構造: 床面積: 2. 相続人〇〇〇〇は、次の預貯金を取得する。 〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇 3. 相続人〇〇〇〇は、次の有価証券を取得する。 〇〇証券〇〇支店 〇〇株式会社 普通株式〇〇株 4. 本協議書に記載のない財産が後日判明した場合は、相続人全員で別途協議する。 上記協議成立の証として本書を作成し、相続人全員が署名押印のうえ、各自1通を保有する。 令和〇年〇月〇日 住所 相続人 〇〇〇〇 実印 住所 相続人 〇〇〇〇 実印
遺産分割協議証明書との違い・紛失した場合の対応

遺産分割協議書と似た書類として、遺産分割協議証明書があります。
また、実際の手続きでは「協議書をなくしたらどうなるのか」を気にする方も少なくありません。ここで違いと対応を整理しておきましょう。
遺産分割協議証明書との違い
遺産分割協議書は、1通の書面に相続人全員が署名押印して完成させる形式が一般的です。
一方、遺産分割協議証明書は、各相続人が同じ内容を個別の書面で証明する形で作成し、それらをまとめて使う実務上の形式です。
相続人が遠方に住んでいて1通を回覧しづらい場合には、遺産分割協議証明書の方が扱いやすいことがあります。
遺産分割協議書を紛失した場合
遺産分割協議書を紛失した場合、コピーの有無や提出先の運用によって対応が変わります。
原本提出後に返却を受けていない場合は、提出先で写しを保有していないか確認します。相続人全員の手元に控えがない場合は、再度同内容で作成し直す必要が生じることもあります。
再作成の手間を避けるためにも、完成後は相続人全員が1通ずつ保管し、PDF化して控えを残しておくと安心です。
遺産分割協議書の書き方|不動産の記載例・財産別の記載例

遺産分割協議書では、財産の種類ごとに特定の仕方が異なります。
ここを曖昧にすると、不動産の相続登記や金融機関の手続きで差し戻されることがあるため、特定できる情報を漏れなく入れることが大切です。
不動産の記載例|土地・建物の書き方
土地や建物の不動産は、登記事項証明書どおりに記載するのが原則です。
土地であれば所在、地番、地目、地積、建物であれば所在、家屋番号、種類、構造、床面積をそのまま転記します。
住所表示と登記上の表示は一致しないことがあるため、「住居表示で書く」のではなく、必ず登記情報を基準にしましょう。
| 財産 | 主な記載項目 | 注意点 |
|---|---|---|
| 土地 | 所在、地番、地目、地積 | 固定資産税の住所ではなく登記簿の表示で書く |
| 建物 | 所在、家屋番号、種類、構造、床面積 | 増改築がある場合でも、まず登記事項証明書の表記を確認する |
| マンション | 一棟の建物の表示、専有部分、敷地権の表示 | 敷地権の割合の記載漏れに注意 |
マンションの記載例|敷地権の表示に注意
マンションのような区分所有建物では、専有部分だけでなく敷地権の表示まで記載する必要があります。
建物の名称、家屋番号、床面積に加え、敷地権の種類や割合も登記事項証明書に沿って転記してください。
ここが漏れると、不動産の記載例としては不完全となり、相続登記で補正を求められるおそれがあります。
預貯金の記載例
預貯金は、金融機関名、支店名、預金種別、口座番号を記載して特定します。
「〇〇銀行の預金一切」のような書き方だと範囲が不明確になることがあるため、普通預金・定期預金を分け、口座ごとに書くのが安全です。
ゆうちょ銀行の手続きについては「ゆうちょ銀行の預貯金の相続手続き」で詳しく紹介しています。
有価証券の記載例
株式や投資信託などの有価証券は、証券会社名、支店名、銘柄名、株数または口数を記載します。
証券口座ごとに記載し、銘柄が多い場合は別紙を添付しても構いません。
自動車の記載例
自動車を相続する場合は、自動車検査証を見ながら登録番号、車台番号、車名などを記載します。
普通自動車か軽自動車かで手続き先は異なりますが、遺産分割協議書ではどの車両を相続するのかが特定できる記載が必要です。
借入金・ローンなど債務の記載例
借入金やローンなどの債務も、相続人間で負担者を決める場合は協議書に記載します。
ただし、相続人間で誰が負担するかを決めても、債権者との関係では当然に対抗できるわけではありません。
金融機関との個別確認が必要になる点には注意が必要です。
代償分割・換価分割を行う場合の書き方

相続では、単純に財産をそのまま分ける現物分割だけでなく、代償分割や換価分割を選ぶことがあります。
この場合は、誰が何を取得するかだけでなく、金銭の支払い方法や売却後の配分方法まで明記することが重要です。
代償分割をする場合
代償分割とは、特定の相続人が不動産などを取得する代わりに、他の相続人へ代償金を支払う方法です。
協議書には、対象財産、代償金の金額、支払期限、支払方法を明確に記載します。これが曖昧だと、後から金銭トラブルになりやすいため注意が必要です。
換価分割をする場合
換価分割とは、不動産などを売却して現金化し、その代金を相続人で分ける方法です。
協議書では、誰が売却手続きを進めるのか、売却代金から諸経費を差し引いた残額をどの割合で分けるのかを定めておきます。
売却時期や最低売却価格まで取り決めるケースもあります。
相続人に特別な事情がある場合の注意点

相続人全員が自由に意思表示できるとは限りません。
未成年者や認知症などで判断能力に課題がある相続人がいる場合、通常どおりの遺産分割協議では無効になるおそれがあります。
未成年者がいる場合
未成年者が相続人であり、親権者も同じ相続で利害関係を持つ場合は、特別代理人の選任が必要になることがあります。
この手続きを経ずに作成した遺産分割協議書は、後から有効性が問題になる可能性があります。
認知症などで判断能力が不十分な相続人がいる場合
相続人の中に認知症などで判断能力が十分でない方がいる場合、成年後見人の選任が必要になることがあります。
本人の保護のための手続きを踏まずに協議を進めると、合意そのものが否定されるリスクがあります。
行方不明の相続人がいる場合
相続人の1人と連絡が取れず所在が分からない場合、その人を除いて遺産分割協議を進めることはできません。
このようなケースでは、家庭裁判所で不在者財産管理人の選任を申し立てる必要があることがあります。
相続人が海外にいる場合
相続人が海外に居住している場合でも、遺産分割協議書の作成自体は可能です。
ただし、日本の印鑑証明書を取得できないことがあるため、在外公館での署名証明など、代替書類を検討する必要があります。提出先によって求められる書類が異なるため、事前確認が重要です。
相続人同士で争いがある場合
遺産分割協議がまとまらない場合は、協議書の作成以前に話し合いの整理が必要です。
感情的な対立が強い場合は、弁護士へ相談し、必要に応じて遺産分割調停を検討することになります。
遺産分割調停については「遺産分割調停の進め方・費用・必要書類」で詳しく紹介しています。
遺産分割協議書が必要となる主な手続き

遺産分割協議書は作って終わりではなく、その後の各種相続手続きで提出して使います。
提出先ごとに必要書類が少しずつ異なるため、どこで使うのかを先に押さえておくと準備しやすくなります。
| 手続き先 | 主な用途 | ポイント |
|---|---|---|
| 法務局 | 不動産の相続登記 | 不動産の記載が不正確だと補正対象になりやすい |
| 銀行・信用金庫 | 預貯金の解約・払戻し・名義変更 | 金融機関ごとの所定書式も必要になることが多い |
| 証券会社 | 株式や投資信託の移管・解約 | 銘柄や口座情報の記載精度が重要 |
| 税務署 | 相続税申告の添付資料 | 未分割なら申告期限は延びない点に注意 |
不動産の名義変更で使う場合
不動産を相続した人は、法務局で相続登記を行います。
法務局によると、不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、2024年4月1日から義務化されています。
法定相続情報証明制度のページでも、相続登記や各種相続手続きで一覧図を利用できることが案内されています。
不動産の名義変更については「親から不動産を相続したら?名義変更登記の手続き・必要書類・費用を解説」で詳しく紹介しています。
預貯金や有価証券の手続きで使う場合
銀行や証券会社では、相続人全員の確認や取得者の確定のために、遺産分割協議書の提出を求めるのが一般的です。
各社の所定用紙が別途必要なこともありますが、協議書がベースになる点は変わりません。
相続税申告で使う場合
国税庁によると、相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
提出先は被相続人の住所地を所轄する税務署で、e-Tax、郵送、窓口提出が案内されています。詳しくは国税庁「相続税の申告と納税」をご確認ください。
相続税申告書の書き方については「相続税申告書の書き方と必要書類、記入ポイント」で詳しく紹介しています。
相続税申告における遺産分割協議書の注意点

遺産分割協議書は、相続税の計算や特例の適用とも関係します。
相続税がかかるかもしれないケースでは、協議書の作成を後回しにしすぎないことが大切です。
申告期限までに分割がまとまらなくても申告は必要
国税庁は、相続財産が分割されていない場合でも、相続税の申告期限は延びないと案内しています。
つまり、遺産分割協議がまとまっていなくても、期限内にいったん申告と納税を行う必要があります。詳しくは国税庁「相続財産が分割されていないときの申告」をご確認ください。
未分割だと使えない特例がある
国税庁によると、未分割のまま申告すると、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などが使えない形での申告になります。
後で分割が成立した場合に修正申告や更正の請求で調整できることはありますが、期限管理が重要です。
不動産の分け方は相続税額にも影響する
誰がどの不動産を取得するかによって、小規模宅地等の特例の適用可否や二次相続まで含めた税負担が変わることがあります。
単に分けやすさだけで決めるのではなく、税務面も含めて検討することが重要です。
代償分割の相続税申告書の書き方については「代償分割の相続税申告書の書き方」で詳しく紹介しています。
遺産分割協議書を自分で作成するのが難しい場合の相談先

遺産分割協議書は自分で作成することもできますが、相続関係や財産内容が複雑な場合は、専門家に相談した方が安全です。
誰に相談すべきかは、悩みの内容によって変わります。
弁護士に相談すべきケース
相続人同士で意見が対立している場合や、遺産分割協議がまとまらない場合は弁護士が適しています。
交渉や調停、訴訟を視野に入れた対応が必要になるためです。
司法書士に相談すべきケース
不動産の相続登記が中心で、争いはないものの、協議書と登記手続きまで一緒に進めたい場合は司法書士が適しています。
特に不動産の記載例に不安がある場合は、早めに確認してもらうと安心です。
行政書士に相談すべきケース
不動産がなく、争いもなく、主に書類作成や金融機関手続きを整理したい場合は行政書士が選択肢になります。
ただし、登記申請そのものは行えないため、不動産がある相続では役割の違いを理解しておく必要があります。
税理士に相談すべきケース
相続税申告が必要な可能性がある場合や、不動産の分け方が税額に大きく影響しそうな場合は税理士への相談が有効です。
協議書の作成と税務上の分割シミュレーションを並行して進めることで、後戻りを減らしやすくなります。
相続税申告の税理士依頼については「相続税申告の税理士依頼」で詳しく紹介しています。
複雑な相続手続きをまとめて任せるなら相続アシスト

遺産分割協議書の作成は、単独の書類作成で終わることは少なく、その後に不動産の名義変更、預貯金の解約、相続税申告まで続くことが一般的です。
相続アシストでは、税理士法人SWATSとSWATS法律事務所が連携し、必要に応じて司法書士とも協力しながら、これらの手続きをワンストップで支援しています。
相続手続き全般については「相続アシスト」で詳しく紹介しています。
書類収集から手続きまでまとめて進めやすい
戸籍謄本や残高証明書、登記事項証明書など、相続では集める書類が多くなりがちです。
書類収集と協議書作成、手続き準備をまとめて進められる体制があると、相続人の負担を大きく減らしやすくなります。
税務と法務を同時に見られる
不動産の分け方は、登記だけでなく相続税にも影響します。
税務と法務の両方の視点から確認できる体制があると、後から「この分け方では税負担が重かった」と気づくリスクを抑えやすくなります。
相続トラブルの初動相談もしやすい
最初は単なる書類作成の相談であっても、途中で相続人間の意見が対立することは珍しくありません。
その場合でも、法律面の相談へ切り替えやすい窓口があると、対応がスムーズです。
遺産分割協議書の書き方でよくある質問

最後に、遺産分割協議書の書き方についてよくある疑問をまとめます。
基本的なルールを押さえておくと、作成時の迷いを減らしやすくなります。
遺産分割協議書は手書きでも有効ですか?
はい、手書きでも有効です。
ただし、財産の特定や訂正のしやすさを考えると、パソコンで作成した方が実務上は扱いやすいことが多いです。
遺産分割協議書に決まった書式はありますか?
法律で定められた統一書式はありません。
ただし、被相続人の情報、財産の内容、取得者、相続人全員の署名押印といった基本項目は漏れなく入れる必要があります。
遺産分割協議書は何通作成すればよいですか?
一般的には、相続人の人数分に加え、手続き用の控えも含めて複数通用意します。
少なくとも相続人全員が1通ずつ保管できるようにしておくと安心です。
遺産分割協議書に収入印紙は必要ですか?
通常、遺産分割協議書そのものに収入印紙は不要です。
ただし、別途必要になる手続き費用や証明書取得費用は発生します。
相続人の1人が署名押印を拒否したらどうなりますか?
相続人全員の合意がなければ、遺産分割協議書は完成しません。
話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停などを検討することになります。
まとめ

遺産分割協議書の書き方で最も重要なのは、相続人全員が参加し、誰がどの財産を取得するのかを具体的に特定できるよう記載することです。
特に不動産は、登記事項証明書どおりに書くことが大前提で、マンションでは敷地権の表示にも注意が必要です。
また、相続税申告が必要な場合は、申告期限が相続開始を知った日の翌日から10か月以内であり、未分割でも期限は延びません。
自分で作成できるケースもありますが、相続人が多い、不動産が複数ある、相続税申告が絡む、争いの兆しがあるといった場合は、早めに専門家へ相談した方が安全です。
書類作成だけでなく、その後の登記や申告まで見据えて準備を進めることが、スムーズな相続への近道になります。
この記事を担当した税理士

税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
- 経歴
- 関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
- 一言
- 複雑な相続税申告や手続きは、専門知識と経験が不可欠です。税理士法人SWATSは法律事務所と連携し、安心のワンストップ対応を実現しています。

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