
著者
税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
不動産の名義変更は、土地や建物の所有者を登記簿上で変更する手続きです。
相続で不動産を取得した場合は、法務局で相続登記を行い、亡くなった人から相続人へ名義を移します。
結論として、相続による不動産名義変更は、相続人と財産を確認し、遺産分割協議を整えたうえで進めるのが基本です。
2024年4月1日から相続登記は義務化されているため、期限や必要書類、費用を早めに確認しましょう。
・相続による不動産名義変更は、法務局で行う相続登記です
・2024年4月1日から相続登記は義務化されています
・相続、贈与、売買、離婚では必要書類や税金が異なります
・相続税申告が必要な場合は、登記と税務を同時に整理しましょう
目次
不動産名義変更とは所有権移転登記のこと

不動産名義変更とは、登記簿上の所有者を変更する手続きです。
正式には、原因に応じて所有権移転登記などの登記申請を行います。
相続で土地や建物を取得した場合は、亡くなった人名義のままでは売却や担保設定ができません。
不動産を引き継ぐ人が決まったら、登記簿にその内容を反映させる必要があります。
相続では不動産名義変更は相続登記として進める
相続による名義変更は、相続登記として法務局に申請します。
法務局では相続登記の手続きについて案内しているため、詳しくは法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」をご確認ください。
不動産名義変更が必要になるケース

競合記事では、名義変更が必要になるケースを相続、贈与、売買、離婚に分けて整理しています。
同じ不動産名義変更でも、原因によって必要書類、税金、手続きの流れが変わります。
| ケース | 主な手続き | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続 | 相続登記 | 相続人調査、遺産分割協議、相続税申告の要否を確認します |
| 生前贈与 | 贈与による所有権移転登記 | 贈与税、不動産取得税、登録免許税を確認します |
| 売買 | 売買による所有権移転登記 | 売買契約、住宅ローン、抵当権抹消を確認します |
| 離婚・財産分与 | 財産分与による所有権移転登記 | 財産分与契約、住宅ローン、税務上の扱いを確認します |
この記事では、SWATS相続メディアの読者ニーズに合わせて、主に相続による不動産名義変更を中心に解説します。
贈与や売買、離婚による名義変更は税金や契約関係が異なるため、相続とは分けて確認しましょう。
不動産名義変更をしないとどうなるか

不動産名義変更をしないまま放置すると、手続きが簡単になるわけではありません。
時間が経つほど相続人が増え、必要書類が増え、売却や活用の判断が難しくなることがあります。
売却や担保設定ができない
登記簿上の所有者が亡くなった人のままだと、不動産を売却したり、担保に入れたりする手続きが進みません。
売却予定がある場合は、買主との契約前に相続登記の完了時期を確認しておきましょう。
相続人が増えて権利関係が複雑になる
名義変更をしないまま次の相続が発生すると、当初の相続人の配偶者や子どもが関係者に加わります。
その結果、遺産分割協議書に署名押印してもらう人数が増え、連絡が取れない相続人が出ることもあります。
相続登記義務化により過料の対象になる可能性がある
法務省によると、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されています。
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しない場合、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
制度の詳細は、法務省「相続登記の申請義務化に関するページ」をご確認ください。
相続による不動産名義変更の流れ

相続による不動産名義変更は、相続人と財産を確定してから進めます。
遺産分割協議がまとまっていない段階では、誰の名義にするかを確定できません。
| 順番 | 手続き | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 遺言書の有無を確認 | 遺言書がある場合は内容に沿って進めます |
| 2 | 相続人と相続財産を調査 | 戸籍と不動産資料を集めます |
| 3 | 遺産分割協議 | 不動産を取得する人を決めます |
| 4 | 登記申請書を作成 | 不動産の表示と課税価格を確認します |
| 5 | 法務局へ申請 | 登記完了後に登記事項証明書で確認します |
遺産分割で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を検討します。
詳しくは「遺産分割調停の流れと必要書類」も参考にしてください。
不動産名義変更に必要な書類

必要書類は、遺言書の有無や遺産分割協議の内容によって変わります。
一般的な遺産分割協議による相続登記では、次のような書類を準備します。
| 書類 | 目的 | 取得先・注意点 |
|---|---|---|
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍 | 相続人を確定する | 本籍地の市区町村で取得します |
| 相続人の戸籍・住民票 | 相続人と住所を証明する | 新名義人の住所証明が必要です |
| 遺産分割協議書 | 不動産の取得者を証明する | 相続人全員の署名押印が必要です |
| 印鑑証明書 | 実印の押印を証明する | 相続人全員分を準備します |
| 固定資産評価証明書 | 登録免許税を計算する | 市区町村や都税事務所で取得します |
| 登記申請書 | 法務局へ申請する | 不動産の表示を正確に記載します |
戸籍一式の提出を簡略化したい場合は、法定相続情報一覧図の利用も選択肢です。
詳しくは「法定相続情報一覧図とは」をご確認ください。
資料収集と相続税申告の判断をまとめて進めたい方へ
不動産がある相続では、登記書類だけでなく、相続税申告の要否や不動産評価の確認も必要になることがあります。
相続アシストでは、相続税申告に必要な情報整理から周辺手続きの確認までまとめて相談できます。
不動産名義変更にかかる費用

不動産名義変更では、登録免許税、戸籍や住民票などの取得費用、専門家へ依頼する場合の報酬がかかります。
自分で申請する場合でも、登録免許税と書類取得費用は必要です。
| 費用項目 | 目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4% | 免税措置が使える場合もあります |
| 戸籍・住民票など | 数千円から1万円程度 | 相続人の数や戸籍の移動回数で変わります |
| 司法書士報酬 | 依頼内容により異なる | 戸籍収集や協議書作成を含むか確認します |
登録免許税は原則として固定資産税評価額の0.4%で計算します。
免税措置や評価額の扱いが関係する場合は、法務局や専門家に確認しながら進めましょう。
不動産名義変更に関係する税金

名義変更では、登記の原因によって関係する税金が変わります。
相続の場合は相続税、生前贈与の場合は贈与税、売買の場合は譲渡所得税などを確認します。
| 原因 | 主な税金 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 相続 | 相続税、登録免許税 | 基礎控除や小規模宅地等の特例を確認します |
| 贈与 | 贈与税、不動産取得税、登録免許税 | 相続時精算課税を使うかも検討します |
| 売買 | 譲渡所得税、登録免許税 | 取得費や譲渡費用を確認します |
相続税の申告が必要か迷う場合は、基礎控除を確認することが出発点です。
詳しくは「相続税の基礎控除」も参考にしてください。
不動産名義変更にかかる期間と期限

相続登記そのものは、書類がそろっていれば申請から完了まで数週間程度で進むことがあります。
ただし、戸籍収集や遺産分割協議に時間がかかると、全体では数か月かかることもあります。
| 手続き | 期限・目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続登記 | 取得を知った日から3年以内 | 過去の相続で未登記の不動産も対象です |
| 相続税申告 | 死亡を知った日の翌日から10か月以内 | 不動産評価に時間がかかることがあります |
| 遺産分割協議 | 早めに開始 | 相続人全員の合意が必要です |
国税庁によると、相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
詳しくは国税庁「相続税の申告と納税」をご確認ください。
不動産名義変更は自分でできるか専門家に依頼すべきか

相続人が少なく、遺産分割協議もまとまっており、不動産の数が少ない場合は、自分で進められることもあります。
一方で、相続人が多い、不動産が複数ある、相続税申告が必要な場合は、専門家に相談した方が安全です。
| 状況 | 自分で進めやすいか | 相談先の目安 |
|---|---|---|
| 相続人が少なく協議済み | 比較的進めやすい | 法務局、司法書士 |
| 不動産が複数ある | 確認事項が増える | 司法書士、税理士 |
| 相続税申告が必要 | 税務判断が必要 | 税理士、司法書士 |
| 相続人間で揉めている | 自力では難しい | 弁護士、司法書士、税理士 |
相続税について誰に相談すべきか迷う場合は、「相続税は誰に相談するべきか」も参考にしてください。
判断に迷う場合や手続きをまとめて相談したい場合は、相続アシストの詳細をご確認ください。
親から子へ不動産名義変更をする場合の注意点

親から子へ不動産名義変更をする場合、生前に贈与する方法と、相続後に相続登記をする方法があります。
どちらがよいかは、不動産の評価額、家族構成、相続税や贈与税の負担によって変わります。
生前贈与は早めに名義を移せる一方で、贈与税や不動産取得税が発生する可能性があります。
相続まで待つ場合は、相続税の基礎控除や小規模宅地等の特例を含めて検討しましょう。
住宅ローンが残っている不動産の名義変更

住宅ローンが残っている不動産は、名義変更だけでなく金融機関との契約確認が必要です。
抵当権が設定されている場合、所有者の変更や売却にあたって金融機関の確認が必要になることがあります。
団体信用生命保険でローンが完済されるケースもあります。
相続発生後は、ローン残高、保険の有無、抵当権抹消の要否を確認しましょう。
不動産名義変更でよくある質問

不動産名義変更はいつまでに行う必要がありますか?
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
2024年4月1日より前に発生した相続でも、未登記の不動産は義務化の対象です。
相続人全員の同意がないと名義変更できませんか?
遺産分割協議で特定の相続人が不動産を取得する場合は、原則として相続人全員の合意が必要です。
遺言書がある場合や法定相続分で登記する場合は、必要書類や進め方が変わります。
相続税申告が不要なら名義変更もしなくてよいですか?
相続税申告が不要でも、相続登記が不要になるわけではありません。
相続税は税務署への手続き、相続登記は法務局への手続きであり、別々に判断する必要があります。
不動産名義変更だけ専門家に依頼できますか?
相続登記だけを司法書士に依頼することは可能です。
ただし、不動産評価や相続税申告も関係する場合は、税理士と連携して進めると、登記と税務のズレを防ぎやすくなります。
不動産の相続手続きと相続税申告をまとめて確認したい方へ

不動産がある相続では、名義変更だけでなく、相続税申告の要否、不動産評価、遺産分割協議、必要書類の整理を並行して進める場面があります。
相続人が複数いる、土地評価が必要、申告期限が近いといった場合は、早めに専門家へ相談すると安心です。
相続税申告や周辺手続きをまとめて相談したい場合は、相続アシストもあわせてご確認ください。
関連する判断ポイントは、相続税の配偶者控除とは?条件・評価額を税理士が解説でも詳しく解説しています。
関連する判断ポイントは、相続税の配偶者控除とは?適用条件・評価額の考え方・判断手順を整理でも詳しく解説しています。
このテーマの前提知識を整理したい場合は、相続税評価額とは?不動産・株式ごとの計算方法と注意点もあわせて確認してください。
相続税申告全体の流れや必要な準備を確認したい場合は、相続税申告の全体ガイドも参考になります。
まとめ

不動産名義変更は、土地や建物の所有者を登記簿上で変更する手続きです。
相続で取得した不動産については、法務局で相続登記を行います。
競合記事でも共通しているように、重要なのは、ケース別の違い、必要書類、費用、税金、期間、自分でできるかを順番に確認することです。
相続税申告が必要な場合は、登記と税務を同時に整理し、期限に間に合うよう早めに準備しましょう。
この記事を担当した税理士

税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
- 経歴
- 関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
- 一言
- 複雑な相続税申告や手続きは、専門知識と経験が不可欠です。税理士法人SWATSは法律事務所と連携し、安心のワンストップ対応を実現しています。

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