

著者
税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
1,000万円を一度に贈与された場合、贈与税は「誰から、誰が、何歳のときにもらったか」で変わります。
親または祖父母から18歳以上の子・孫がもらう特例税率なら177万円、未成年の子や親以外からもらう一般税率なら231万円が目安です。
ただし、相続時精算課税を選ぶ場合や、同じ年にほかの贈与を受けた場合は結果が変わります。
この記事では、贈与税1000万円はいくらかを、国税庁の速算表を使って確認します。
・贈与税は、その年にもらった財産の合計から基礎控除110万円を引いて計算します
・親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与は特例税率、それ以外は一般税率が基本です
・1,000万円なら税額の目安は177万円または231万円ですが、条件により変わります
・相続時精算課税は贈与時の税額だけでなく、将来の相続税も含めて判断します
目次
贈与税1000万円はいくら?条件別の目安は177万円・231万円

国税庁のNo.4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」によると、暦年課税では1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引きます。
1,000万円だけを受けた場合の基礎控除後の課税価格は890万円です。
この890万円に、続柄・年齢に応じた税率と控除額を当てはめます。
親から18歳以上の子へ贈与するケースと、未成年の子へ贈与するケースを混同しないことが大切です。
| ケース | 計算 | 贈与税の目安 |
|---|---|---|
| 親・祖父母から、18歳以上の子・孫 | (1,000万円-110万円)×30%-90万円 | 177万円 |
| 未成年の子・孫、夫婦・兄弟・親以外からの贈与など | (1,000万円-110万円)×40%-125万円 | 231万円 |
| 同じ年に複数人から受けた贈与がある | 合計額と一般・特例の按分計算が必要 | 個別計算 |
贈与税を計算する3手順

贈与税は、贈与した人ごとではなく、受け取った人が1年間にもらった財産を基準に考えます。
そのため、父から900万円、祖母から100万円を受けた場合も、原則として合計1,000万円から計算します。
計算の出発点は受贈者ごとの年間合計額です。
1. その年にもらった財産を合計する
現金だけでなく、不動産、株式など贈与により取得した財産を合計します。
同じ年に複数回受け取った場合や、複数人から受け取った場合も、暦年課税では原則として合算します。
贈与の対象・評価方法によって金額が変わるため、現金以外は評価額の確認が必要です。
2. 基礎控除110万円を差し引く
年間の合計額から110万円を差し引いた残額が、基礎控除後の課税価格です。
1,000万円なら、1,000万円-110万円=890万円になります。
110万円は贈与者ごとではなく、受贈者1人につき年間1回の基礎控除です。
3. 一般税率・特例税率を当てはめる
890万円に税率を掛け、速算表の控除額を引きます。
親または祖父母から、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子・孫が受ける贈与は、特例税率の対象です。
それ以外は原則として一般税率になるため、続柄と年齢を先に判定してください。
177万円と231万円の違いは一般税率・特例税率

特例税率は、直系尊属から18歳以上の子・孫が受ける贈与に限られます。
国税庁の速算表では、課税価格890万円なら特例税率は30%・控除額90万円、一般税率は40%・控除額125万円です。
「親から子だから必ず177万円」とは限りません。
受贈者が18歳未満なら一般税率となるため、贈与した年の1月1日時点の年齢で確認します。
親から18歳以上の子へ贈与する場合
父母・祖父母などの直系尊属から18歳以上の子・孫へ贈与する場合は、特例贈与財産用の速算表を使います。
1,000万円の贈与では、890万円×30%-90万円で177万円です。
配偶者の親は直系尊属には含まれないため、義父母からの贈与は特例税率の対象ではありません。
未成年者や親以外から贈与を受ける場合
未成年の子・孫、夫婦間、兄弟間、叔父叔母からの贈与などは、一般贈与財産用の速算表を使います。
1,000万円の贈与では、890万円×40%-125万円で231万円です。
税率を取り違えないよう、年齢と続柄で税額が変わる点を確認してください。
相続時精算課税なら贈与時の税額がゼロになる場合もある

原則として60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫へ贈与する場合、相続時精算課税を選べることがあります。
累計2,500万円の特別控除の範囲であれば、1,000万円を贈与した年の贈与税額がゼロになる場合があります。
ただし、これは「税金が完全になくなる」意味ではありません。
国税庁のNo.4103「相続時精算課税の選択」のとおり、贈与財産は原則として相続時に相続税の計算へ加算して精算します。
特別控除額(2,500万円)は、贈与税の期限内申告書を提出した場合に限り控除できます。
年110万円の基礎控除と累計2500万円の特別控除は別に考える
2024年以後、相続時精算課税には贈与者ごとに年110万円の基礎控除があります。
1,000万円を受けた場合、年110万円を超える部分について累計2,500万円の特別控除を使うかを確認します。
制度を初めて選択する年には届出・申告が必要になるため、贈与前に制度選択を決めることが重要です。
相続税との比較をせずに選ばない
相続時精算課税は、一度選択するとその贈与者からの贈与について暦年課税へ戻れません。
将来の値上がりが見込まれる財産を早く移す設計に向くことがある一方、相続税の基礎控除内に収まるか、ほかの財産を含めた相続税額はいくらかで有利不利が変わります。
そのため、相続税を含めた総額で比較してから選択することが大切です。
相続時精算課税の基礎は、相続時精算課税制度の解説もあわせてご確認ください。
贈与額と申告資料を整理したい方へ
1,000万円の贈与は、税額だけでなく、贈与契約書、振込記録、制度選択の届出、相続時の資料整理も関係します。
贈与の経緯と資料を整理してから専門家へ相談すると、相続税への影響も含めて確認しやすくなります。
贈与税の申告はいつまで?誰が申告する?

暦年課税では、年間の贈与額が110万円を超える場合、原則として贈与を受けた人が申告します。
申告・納付の期間は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。提出先は、原則として受贈者の住所地を所轄する税務署です。
国税庁の贈与税の申告等で、申告要否と制度別の扱いを確認できます。
現金の受渡しだけで済ませず、契約書と送金記録を残しておくと、贈与の事実・日付・金額を説明しやすくなります。
贈与税1000万円に関するよくある質問

親から18歳以上の子へ1000万円を贈与すると、必ず177万円ですか?
同じ年に受けたほかの贈与がなく、暦年課税を使う前提なら177万円が目安です。
相続時精算課税を選択している場合や、一般贈与財産も同じ年に受けた場合は、計算が変わります。
税額を確定する前に、年間合計と制度選択を確認してください。
親以外の人からもらった1000万円も177万円ですか?
原則として違います。配偶者、兄弟、叔父叔母、義父母などからの贈与は一般税率で計算します。
1,000万円だけを受けた場合の目安は231万円です。
贈与者との関係を取り違えると、税率区分を誤るため注意しましょう。
相続時精算課税を選べば、相続税もかかりませんか?
いいえ。相続時精算課税は、一定の贈与税を相続時に精算する制度です。
贈与時の税額がゼロでも、相続時には原則として贈与時の価額を相続税の計算に加えます。
相続税がかかるかは、贈与分だけでなく全財産と相続人の数で判定します。
相続前の準備を整理しておきたい場合は専門家へ相談する

1,000万円の贈与は、単年の贈与税だけで決めると、相続時の税金や家族間の分け方との関係を見落とすことがあります。
財産全体、贈与する相手、今後の贈与計画、相続税の見込みを並べて確認すると判断しやすくなります。
相続前の準備を含めて専門家に相談したい場合は、相続アシストをご確認ください。
まとめ

贈与税1000万円の目安は、親・祖父母から18歳以上の子・孫への特例税率なら177万円、それ以外の一般税率なら231万円です。
まず、受贈者の年間合計額、続柄、年齢を確認し、国税庁の速算表に当てはめてください。
相続時精算課税を使う場合は、贈与時の税額だけで判断しないことが重要です。
相続税を含めた全体の見通しを確認してから、贈与方法を決めましょう。
この記事を担当した税理士

税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
- 経歴
- 関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
- 一言
- 複雑な相続税申告や手続きは、専門知識と経験が不可欠です。税理士法人SWATSは法律事務所と連携し、安心のワンストップ対応を実現しています。

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