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不動産は生前贈与と相続のどちらがよい?比較ポイントを解説

公開日:2026/08/18
更新日:2026/08/18
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著者

税理士法人SWATS

代表 柴田 潤

関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。

親が所有する家や土地を子どもへ引き継ぐとき、「生前贈与と相続はどちらが得なのか」と迷う方は少なくありません。
ただし、不動産は現金と違い、税金だけでなく、名義変更費用、住む人、売却・管理の方針、他の相続人との公平性も関係します。生前贈与が有利な場合もありますが、相続まで待つ方が負担を抑えられる場合もあります。

不動産を生前贈与するか相続するかでまず確認したいポイント
・比較は不動産だけでなく、預貯金・株式・保険を含めて行う
・贈与税、相続税、名義変更に伴う費用を同じ前提で比べる
・誰が住むか、売るか、共有を避けたいかを先に整理する
・相続時精算課税や小規模宅地等の特例は、条件を確認して検討する

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目次

不動産は生前贈与と相続のどちらが得?一律には決められない

不動産の生前贈与と相続を比較するポイント

結論からいうと、不動産の生前贈与と相続のどちらが得かは、物件と家族の状況によって異なります。生前贈与では本人の意思で渡す相手や時期を決めやすい反面、贈与税や名義変更に伴う費用が発生し得ます。相続では、相続税の基礎控除や、一定の宅地等に使える特例を検討できる一方、相続人間で取得者や分け方を決める必要があります。

比較の出発点は「税金が安い方法」を探すことではありません。誰がその不動産を使うのか、将来売却する可能性はあるか、他の財産とどう分けるかまでを整理してから、税金と手続き費用を試算します。

生前贈与は、生きている間に名義を移す方法

生前贈与は、所有者が生きている間に、合意のうえで不動産を渡す方法です。子どもが早めに住み始める、賃貸物件の管理を早く引き継ぐ、将来の取得者を明確にしておきたい、といった目的で検討されます。
ただし、贈与税は不動産の評価額を基に考えるため、少額の現金を毎年渡す場合と同じ感覚では判断できません。登記の方法や不動産取得税なども含めて確認が必要です。

相続は、死亡後に不動産を引き継ぐ方法

相続では、遺言があるか、誰が相続人か、遺産分割をどうするかによって取得者が決まります。相続税がかかるかどうかは、不動産だけではなく、預貯金、株式、保険金などを含む相続財産全体で判断します。
自宅の土地などは、要件を満たすと相続税の計算上、小規模宅地等の特例を検討できることがあります。適用には取得者や利用状況などの条件があるため、「自宅だから必ず使える」とは考えず、個別に確認しましょう。

不動産の生前贈与と相続で比べる4つのポイント

不動産の生前贈与と相続で比較する4つのポイント

比較項目 生前贈与 相続
渡す時期 本人が生きている間に決める 相続開始後に手続きを進める
主な税金 贈与税を確認する 相続税を確認する
不動産の扱い 早期に取得者を明確にしやすい 遺言・遺産分割で取得者を決める
注意点 名義変更費用、制度選択、他の相続人との公平性 相続人間の合意、申告期限、特例の要件

1. 贈与税と相続税は、財産全体で比較する

不動産だけを切り離して比較すると、判断を誤りやすくなります。相続税では、他の財産や債務、相続人の人数なども関係します。贈与税も、誰から誰へ、どの制度で、いつ渡すかによって扱いが変わります。
そのため、固定資産税通知書だけでなく、通帳、証券、保険の資料もそろえ、同じ財産一覧を前提に贈与案と相続案を比べることが大切です。

2. 相続時精算課税を使うかは、相続時まで見据えて決める

一定の要件を満たす父母・祖父母から子・孫への贈与では、相続時精算課税を選択できる場合があります。制度を選ぶと、贈与時の扱いだけでなく、贈与者が亡くなった際の相続税計算にも関係します。
令和6年以後の贈与には基礎控除が設けられていますが、選択後は同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ変更できません。制度の仕組みは国税庁の案内を確認し、不動産以外の贈与も含めて検討します。

3. 相続で検討できる特例を、贈与前に確認する

居住用や事業用の土地は、一定の条件を満たせば小規模宅地等の特例の対象になる可能性があります。一方で、相続開始前3年以内の贈与で取得した宅地等や、相続時精算課税に係る贈与で取得した宅地等は、この特例を受けられない旨が国税庁の申告要否判定コーナーで案内されています。
したがって、贈与前に相続で使える可能性のある制度を確認することが欠かせません。

4. 共有を避けたいなら、税金以外の分け方を決める

不動産を複数人の共有名義にすると、売却、賃貸、修繕などで共有者間の調整が必要になります。生前贈与で一人に渡す方法だけが解決策ではありません。遺言で取得者を指定する、他の財産で調整する、代償金を用意するなど、家族全体の分け方を検討します。
「誰に名義を移すか」と「他の相続人にどう配慮するか」はセットで話し合いましょう。

生前贈与を検討しやすいケースと、相続を優先して考えたいケース

生前贈与と相続を検討するケース別の判断ポイント

生前贈与を検討しやすいケース

本人が特定の子へ早めに不動産を渡したい、収益物件の管理を早く引き継ぎたい、将来の取得者を本人の意思で明確にしたい、といったケースでは、生前贈与を検討する余地があります。目的が明確でも、税金と登記費用、他の相続人との公平性、本人の生活資金を確認しなければなりません。

相続を優先して考えたいケース

相続財産全体が基礎控除の範囲に収まりそうな場合や、自宅土地について相続時の特例を検討したい場合は、安易な生前贈与が有利とは限りません。また、取得者や利用方針が家族内で固まっていない状態で名義だけを移すと、後から不公平感や共有問題が残ることがあります。

比較試算の前に用意したい資料

  • 固定資産税通知書、登記事項証明書など不動産の資料
  • 預貯金、証券、保険、借入金が分かる資料
  • 家族構成と、各人の居住・管理・売却に関する希望
  • 過去の贈与や、予定している贈与の内容

不動産の分け方を税金と一緒に整理したい方へ

生前贈与か相続かを考えるときは、税金の試算だけでなく、不動産を誰が取得し、住むのか、売却や管理をどうするのかを整理する必要があります。生前対策では、相続税・遺言・家族信託なども含めて、状況に応じた準備を相談できます。

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不動産の生前贈与と相続に関するよくある質問

不動産の生前贈与と相続に関するよくある質問

Q. 不動産は生前贈与より相続の方が必ず得ですか?

必ずしもそうとはいえません。相続時の特例を検討できる場合がある一方、早めに取得者を決める必要がある場合もあります。贈与税・相続税だけでなく、名義変更費用、不動産の利用方針、他の相続人との調整まで含めて比較します。

Q. 毎年少しずつ贈与すれば、不動産の贈与税を抑えられますか?

不動産の持分を複数年に分けて移す方法でも、登記や評価、各年の贈与の内容を確認する必要があります。毎年の贈与であれば自動的に有利になるわけではありません。

Q. 相続時精算課税を選べば、相続税はかかりませんか?

相続時精算課税は、贈与時と相続時を通じて精算する制度です。一定の贈与財産は相続税計算に関係するため、相続税が必ずかからなくなる制度ではありません。制度の対象や計算の考え方は国税庁の案内を確認しましょう。

Q. 共有名義を避けるには、生前贈与だけが方法ですか?

いいえ。遺言、遺産分割、代償金による調整など、家族や財産の状況に応じた方法があります。先に誰が住むか、誰が管理するか、他の相続人へ何を渡すかを整理することが大切です。

不動産の生前贈与と相続で判断に迷った実例

不動産の生前贈与と相続の判断で確認する手順

不動産の承継では、税率だけでなく、誰が使うか、共有を避けられるか、納税資金を確保できるかが判断に影響します。ここでは、SWATSに寄せられた相談内容をもとに、個人を特定できない形に一般化した実例を紹介します。

不動産の共有を避けたいが、生前贈与と相続のどちらがよいか迷ったケース

親名義の不動産があり、将来的に家族で共有する状態は避けたい一方、生前に名義を移すべきか、相続まで待つべきかを決められないケースがありました。不動産以外にも預貯金や金融資産があり、誰が住むのか、売却するのか、税金を納める資金をどうするのかも固まっていませんでした。この段階では、不動産だけの税額比較で結論を出しにくい状況です。

最初に財産全体と不動産の使い方を整理した

このような場合は、まず固定資産税通知書などで不動産を確認し、次に預貯金・株式・保険を含めた財産を棚卸しします。そのうえで、取得者、居住継続、売却・賃貸の可能性、他の家族への配分を整理してから、贈与と相続の費用を同じ条件で比べます。

同じ状況で確認したいポイント

  • 不動産を取得する人と、住む・管理する人は一致しているか
  • 不動産以外の財産で、他の相続人との調整や納税資金を考えられるか
  • 過去の贈与や今後の贈与予定を含めて、相続時の扱いを確認したか
  • 共有、売却、賃貸のどれを避けたい・実現したいのかを家族で話せているか

不動産の生前対策を家族で整理したい方へ

生前対策に関する相談の流れ

不動産の生前贈与と相続を比べるときは、税金の有利不利だけを先に決めないことが重要です。判断能力、財産の名義、実家不動産の活用、家族の希望を整理し、必要に応じて税務・法務の確認を進めます。生前対策では、相続税・遺言・家族信託などを含め、状況に応じた準備を相談できます。

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まとめ

不動産の生前贈与と相続のまとめ

不動産を生前贈与するか相続するかは、贈与税・相続税だけで決めず、不動産以外の財産、名義変更費用、住む人、共有を避ける方法まで含めて比較しましょう。特に、不動産の使い方や家族間の分け方が決まっていない場合は、固定資産税通知書などの資料と財産全体を整理することから始めます。制度の条件を公的一次情報で確認し、必要に応じて専門家へ相談することが大切です。

この記事を担当した税理士

税理士法人SWATS

代表 柴田 潤

経歴
関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
一言
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