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成年後見人の選び方|家族・専門家の違いと相続時の注意点

公開日:2026/07/15
更新日:2026/07/15
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目次

成年後見人の選び方で大切なのは、「家族か専門家か」だけで判断しないことです。
成年後見人は本人の財産管理や契約手続きを担うため、本人との関係性、財産の内容、親族間の利害関係、相続手続きの有無まで確認して候補者を考える必要があります。

ただし、法定後見では候補者を申立書に書けても、最終的に誰を成年後見人にするかは家庭裁判所が判断します。
この記事では、成年後見人に選ばれやすい人、家族と専門家の違い、相続手続きがある場合の注意点、申立て前に確認したいポイントをわかりやすく解説します。

成年後見人の選び方でまず確認したいポイント
・成年後見人は、本人の利益を優先して財産管理や法律行為を行える人が適しています
・親族を候補者にしても、最終的には家庭裁判所が成年後見人を選任します
・財産が多い、親族間で対立がある、相続手続きがある場合は専門家が選ばれることがあります
・相続人でも成年後見人になれる場合はありますが、利益相反があると特別代理人などの対応が必要です

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成年後見人の選び方は本人の利益を守れるかで判断する

成年後見人の選び方で確認したい本人の利益と財産管理の図解

成年後見人は、認知症や障害などで判断能力が十分でない本人に代わって、財産管理や契約手続きを行う人です。
そのため、候補者を考えるときは「家族だから安心」「専門家だから安心」と単純に分けるのではなく、本人の財産や生活を長期的に守れるかを軸に判断します。

成年後見制度の基本は、厚生労働省「後見人等の選任」でも確認できます。
同ページでは、家庭裁判所が本人の心身の状態、生活状況、財産状況、後見人候補者の職業や経歴、本人との利害関係などを考慮して選任すると説明されています。

本人の財産と生活を継続して管理できる人を選ぶ

成年後見人の仕事は、一度だけ手続きをして終わるものではありません。
預貯金の管理、施設費や医療費の支払い、契約手続き、家庭裁判所への報告などを継続して行います。

そのため、候補者には事務処理を継続できる時間と責任感が必要です。
遠方に住んでいる、仕事が忙しく定期的な対応が難しい、本人の財産状況を把握していないといった場合は、親族であっても慎重に考える必要があります。

本人との信頼関係だけでなく利害関係も確認する

本人と親しい家族は候補者になりやすい一方で、本人の財産から利益を受ける立場にある場合は注意が必要です。
たとえば、本人と同居して家計が混ざっている、本人から借入をしている、将来の相続で利害が対立しやすいといった事情があると、家庭裁判所が専門家を選任することがあります。

成年後見人は本人のために行動する立場なので、候補者が本人と利益相反しないかを事前に確認しましょう。

財産が複雑な場合は専門家の関与も検討する

不動産、賃貸物件、有価証券、会社経営、相続税申告に関係する財産などがある場合、日常的な支払い管理だけでは足りないことがあります。
このようなケースでは、司法書士、弁護士、社会福祉士などの専門家が成年後見人に選ばれたり、親族後見人に加えて成年後見監督人が選ばれたりすることがあります。

家族だけで抱え込むより、必要に応じて専門家と役割分担するほうが、手続きが安定する場合もあります。

成年後見人になれる人となれない人

成年後見人になれる人となれない人を整理した図解

成年後見人は、親族だけでなく、司法書士、弁護士、社会福祉士、法人などが選ばれることもあります。
一方で、法律上、成年後見人になれない人もいます。

候補者を決める前に、まずは成年後見人になれる立場か、本人との関係に問題がないかを確認しましょう。

区分 主な例 確認ポイント
親族 配偶者、子、兄弟姉妹、甥姪など 本人との関係、財産管理の継続性、親族間の対立の有無
専門家 司法書士、弁護士、社会福祉士など 財産や法律関係が複雑な場合、親族間の利害対立がある場合に検討
法人 社会福祉法人、専門職法人など 長期的・組織的な支援が必要な場合に選ばれることがある

親族は候補者になれるが必ず選ばれるとは限らない

配偶者や子などの親族は、成年後見人の候補者になれます。
本人の生活状況や財産状況をよく知っているため、日常的な支援をしやすい点は大きなメリットです。

ただし、候補者として申立書に書いても、家庭裁判所が別の人を選任することがあります。
親族間で意見が分かれている、財産管理に不安がある、本人との利害関係が強い場合は、専門家が選ばれる可能性もあります。

専門家は財産管理や法律関係が複雑な場合に向いている

司法書士や弁護士などの専門家は、不動産の管理、裁判所への報告、遺産分割協議、債務整理など、法律や財産管理の専門性が必要な場面に向いています。
親族が高齢で対応が難しい場合や、本人の財産が多い場合も、専門家が選ばれやすくなります。

一方で、専門家が成年後見人になると報酬が発生します。
費用は本人の財産から支払われるため、報酬負担と実務負担のバランスを考えることが大切です。

欠格事由にあたる人は成年後見人になれない

民法では、成年後見人になれない人が定められています。
たとえば、未成年者、家庭裁判所で法定代理人などを解任された人、破産者、本人に対して訴訟をした人やその配偶者・直系血族、行方の知れない人などです。

具体的な条文はe-Gov法令検索「民法」で確認できます。
候補者に不安がある場合は、申立て前に欠格事由の有無を確認しておきましょう。

家庭裁判所が成年後見人を選ぶときに見るポイント

家庭裁判所が成年後見人を選ぶときに見るポイントの図解

法定後見では、申立人が候補者を立てても、家庭裁判所がその人を必ず選ぶわけではありません。
家庭裁判所は、本人の状態や財産状況、候補者の適性、親族の意見などを総合的に見て、本人にとって適切な成年後見人を選任します。

候補者を考える段階では、家庭裁判所が重視しやすい事情を整理しておくことが大切です。

確認されやすい項目 見られる内容 注意点
本人の状態 判断能力、生活状況、医療・介護の状況 支援の範囲に合う人かを確認される
財産状況 預貯金、不動産、負債、収支、管理の複雑さ 財産が多い・複雑な場合は専門家が選ばれることがある
候補者の事情 職業、経歴、本人との関係、健康状態、対応力 継続的に後見事務を担えるかが重要
親族関係 親族の意向、対立の有無、本人との利害関係 争いがある場合は中立的な専門家が選ばれやすい

候補者の希望より本人の利益が優先される

成年後見制度は、家族の都合ではなく本人を保護するための制度です。
そのため、「長男だから」「同居しているから」といった理由だけで成年後見人が決まるわけではありません。

家庭裁判所は、候補者が本人の利益を守れるか、財産を適切に管理できるかを重視します。
候補者を立てる場合も、本人にとってなぜ適切かを説明できるようにしておきましょう。

親族間に争いがあると専門家が選ばれることがある

相続や財産管理をめぐって親族間に争いがある場合、特定の親族を成年後見人にすると不公平感が生じやすくなります。
このようなときは、中立性を確保するために専門家が成年後見人に選ばれることがあります。

親族後見人を希望する場合は、ほかの親族の同意を得られるか、本人の財産を私的に使っていないかなど、トラブルになりやすい点を事前に整理しておくことが重要です。

成年後見監督人が選ばれる場合もある

親族が成年後見人に選ばれる場合でも、家庭裁判所が必要と判断すれば成年後見監督人が選任されることがあります。
成年後見監督人は、成年後見人の事務を監督し、必要に応じて家庭裁判所へ報告する立場です。

財産が多い場合や専門的な管理が必要な場合は、親族だけで進めるのではなく、監督人との連携が必要になることもあります。

家族と専門家のどちらを成年後見人候補にするべきか

家族と専門家のどちらを成年後見人候補にするべきかを比較した図解

成年後見人候補を考えるとき、多くの家庭で迷うのが「家族にするか、専門家にするか」です。
どちらが必ず良いというものではなく、本人の生活、財産、親族関係、必要な手続きによって向き不向きがあります。

以下の表で、家族と専門家の違いを整理します。

候補者 向いているケース 注意点
家族・親族 本人の生活状況をよく知っている、親族間の合意がある、財産管理が比較的シンプル 事務負担が続く、使い込みを疑われやすい、相続で利益相反になることがある
専門家 財産が多い、不動産がある、親族間で対立がある、法律手続きが複雑 報酬が発生する、本人の日常生活の細かな事情は家族の協力が必要

家族後見人は本人の生活を把握しやすい

家族が成年後見人になるメリットは、本人の生活歴、医療・介護の状況、本人の希望を把握しやすいことです。
施設や病院との連絡も取りやすく、日常的な支払い管理にも対応しやすい場合があります。

一方で、後見事務は家庭内の手伝いとは異なります。
本人の財産と家族の財産を分け、領収書や通帳を管理し、家庭裁判所へ報告する必要があります。
家族が候補者になる場合は、家計と本人財産を明確に分ける意識が欠かせません。

専門家後見人は中立性と実務対応に強い

専門家が成年後見人になるメリットは、中立的な立場で財産管理や法律手続きを進めやすいことです。
不動産の処分、債務の整理、遺産分割協議、親族間の対立がある場合は、専門家の関与によって手続きが進めやすくなることがあります。

ただし、専門家だけで本人の生活の細かな事情を把握するのは難しい場合もあります。
本人の希望や生活状況を伝えるため、家族が情報提供や日常面の協力を続けることが大切です。

任意後見なら本人が元気なうちに選べる

すでに判断能力が低下している場合は法定後見を利用しますが、本人に十分な判断能力があるうちであれば任意後見を検討できます。
任意後見は、将来に備えて本人が任意後見人となる人を契約で選ぶ制度です。

ただし、契約だけで直ちに始まるわけではなく、本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから効力が生じます。
制度の種類については「成年後見制度の種類」も参考になります。

相続手続きがある場合の成年後見人の選び方

相続手続きがある場合の成年後見人の選び方の図解

相続人の中に判断能力が十分でない人がいる場合、遺産分割協議や不動産売却のために成年後見制度が必要になることがあります。
このとき、成年後見人の選び方を誤ると、利益相反や親族間対立によって手続きが止まることがあります。

相続が関係する場合は、通常の財産管理だけでなく、遺産分割・相続税申告・不動産手続きまで見通して候補者を考えましょう。

相続人が成年後見人になると利益相反に注意が必要

成年後見人が本人と同じ相続の相続人である場合、遺産分割協議で利益相反が生じることがあります。
たとえば、子が親の成年後見人となり、その親と子が同じ相続の相続人になる場合、子は自分の取り分と本人の取り分の両方に関わる立場になります。

このような場合は、成年後見人がそのまま本人を代理できず、特別代理人の選任などが必要になることがあります。
相続手続きがあるときは、候補者を決める段階で利益相反の有無を確認しましょう。

遺産分割協議では本人の法定相続分を軽く扱えない

成年後見人は、本人の利益を守る立場です。
そのため、ほかの相続人の都合だけで本人の取得分を少なくするような遺産分割を進めることはできません。

「本人は施設にいるから不動産はいらない」「家族内で話がついている」と考えていても、成年後見人は本人の財産的利益を基準に判断します。
遺産分割協議書を作成する場合は「遺産分割協議書の書き方」もあわせて確認してください。

不動産売却や相続税申告がある場合は専門家連携が重要

相続財産に不動産がある、相続税申告が必要、借金や未分割財産があるといった場合は、成年後見人だけで判断しきれないことがあります。
不動産の評価、相続税の期限、登記、家庭裁判所の許可が関係する可能性があるため、早い段階で関係者を整理しましょう。

成年後見と相続が重なる場合は、後見・相続・税務の手続きを別々に考えず、全体の流れを確認することが大切です。

成年後見と相続手続きをまとめて整理したい方へ

判断能力に不安がある相続人がいる場合、成年後見人の選任だけでなく、遺産分割協議、不動産資料、相続税申告の要否なども同時に確認する必要があります。
相続アシストでは、相続税申告と周辺手続きをまとめて相談できます。

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成年後見人を選ぶ前に確認したい注意点

成年後見人を選ぶ前に確認したい注意点の図解

成年後見人を選ぶ前には、制度が始まった後の負担や制約も確認しておく必要があります。
成年後見は本人を守るための制度ですが、家族が自由に財産を動かせる制度ではありません。

申立て後に「思っていた制度と違った」とならないよう、次の点を押さえておきましょう。

申立て後に自由に取り下げられるとは限らない

成年後見制度の申立てをした後は、家庭裁判所の許可なく自由に取り下げられるわけではありません。
候補者と違う人が選ばれそうだから取り下げたい、専門家報酬が発生しそうだからやめたい、といった理由では希望どおりにならないことがあります。

申立て前に、候補者が選ばれない可能性や専門家が関与する可能性を含めて、制度利用後の流れを確認しておきましょう。

成年後見人の仕事は原則として長く続く

成年後見人の仕事は、遺産分割協議や預金解約が終われば終了するものではありません。
原則として、本人が亡くなる、判断能力が回復するなどの事情があるまで続きます。

相続手続きだけを進める目的で申立てを考えている場合でも、その後の財産管理や家庭裁判所への報告が続く点に注意が必要です。
候補者には、長期的な後見事務を担えるかが問われます。

本人の財産を家族のために使うことはできない

成年後見人は、本人の財産を本人のために管理する立場です。
家族の生活費、相続対策のための贈与、親族への貸付などに本人の財産を自由に使うことはできません。

本人の財産を家族のものと混同すると、使い込みを疑われたり、成年後見人を解任されたりするリスクがあります。
候補者になる人は、本人財産の分別管理を徹底する必要があります。

成年後見人の選び方に関するよくある質問

成年後見人の選び方に関するよくある質問の図解

家族が成年後見人になることはできますか?

家族が成年後見人になることはできます。
ただし、候補者として申立書に書いても、家庭裁判所が必ずその家族を選ぶとは限りません。
本人の財産状況、候補者の適性、親族間の意見、利益相反の有無などを踏まえて、家庭裁判所が最終判断します。

成年後見人は本人が選べますか?

法定後見では、本人や家族が候補者を希望することはできますが、最終的に選ぶのは家庭裁判所です。
一方、本人に判断能力があるうちであれば、任意後見契約によって将来の任意後見人を本人が選ぶことができます。
自分で支援者を選びたい場合は、判断能力が十分なうちに任意後見を検討しましょう。

相続人が成年後見人になっても問題ありませんか?

相続人が成年後見人になること自体はあり得ます。
ただし、遺産分割協議などで本人と成年後見人の利益が対立する場合は、成年後見人が本人を代理できないことがあります。
この場合は、特別代理人の選任などが必要になる可能性があるため、相続手続きの前に専門家へ確認しましょう。

専門家が成年後見人になると費用は誰が払いますか?

専門家が成年後見人に選ばれた場合の報酬は、原則として本人の財産から支払われます。
報酬額は、成年後見人が家庭裁判所に報酬付与の申立てを行い、家庭裁判所が本人の財産状況や事務内容を踏まえて決めます。
家族が直接支払うものではありませんが、本人財産から支出されるため、報酬負担の見通しを確認しておくと安心です。

成年後見人の選任と相続手続きに不安がある場合は早めに相談する

成年後見人の選任と相続手続きの相談を促す図解

成年後見人の選び方は、本人の生活支援だけでなく、財産管理、親族関係、相続手続きにも影響します。
特に、相続人の中に判断能力が十分でない人がいる、遺産分割協議を進めたい、不動産売却や相続税申告が必要といった場合は、成年後見と相続手続きの順番を早めに整理することが大切です。

相続税申告や周辺手続きをまとめて相談したい場合は、相続アシストもあわせてご確認ください。

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まとめ

成年後見人の選び方のまとめ図解

成年後見人の選び方では、本人との信頼関係だけでなく、財産管理を継続できるか、本人との利害関係がないか、親族間で争いがないかを確認する必要があります。
親族を候補者にすることはできますが、法定後見では家庭裁判所が最終的に成年後見人を選任します。

財産が多い場合、親族間に対立がある場合、相続手続きが関係する場合は、専門家が成年後見人に選ばれることもあります。
相続人が成年後見人候補になると利益相反が問題になることもあるため、遺産分割や相続税申告が関係する場合は、申立て前に全体の流れを整理しておきましょう。

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