

著者
税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
借地権は、他人の土地を借りて建物を所有するための権利で、相続の対象になります。
土地の所有権ではないため見落とされがちですが、借地権付き建物を相続する場合は、建物だけでなく借地契約の内容、地主との関係、相続税評価をまとめて確認することが重要です。
この記事では、借地権を相続したときの手続き、地主への連絡、名義変更、相続税評価、相続前に備える方法を解説します。
・借地権も相続財産であり、建物と契約内容を一緒に確認します
・相続による承継では、通常は地主の承諾を得ずに権利を引き継げます
・遺産分割・相続登記・相続税評価は別々に整理する必要があります
・契約期間、地代、更新料、譲渡承諾料の有無を早めに確認します
目次
借地権は相続できる?|建物所有を目的とする土地利用権も遺産になる

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいいます。国税庁もNo.4611 借地権の評価でこの定義を示し、相続税・贈与税の課税対象になると説明しています。
借地上の建物は相続登記の対象ですが、借地権そのものは登記されていないこともあります。契約書、地代の領収書、更新合意書を確認し、建物と借地権を一体の財産として把握することが必要です。
| 確認する財産 | 確認資料 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 借地権 | 土地賃貸借契約書、更新契約書 | 借地期間・更新条件・地代 |
| 借地上の建物 | 登記事項証明書、固定資産税通知書 | 名義・共有者・抵当権 |
| 地主との精算関係 | 地代領収書、請求書 | 未払地代・更新料・保証金 |
借地権と建物は別々に確認する
この章では、借地権と建物は別々に確認するを契約書・戸籍・評価資料などの一次資料で確認し、判断を急がずに整理することが大切です。
普通借地権・定期借地権で契約期間が異なる
この章では、普通借地権・定期借地権で契約期間が異なるを契約書・戸籍・評価資料などの一次資料で確認し、判断を急がずに整理することが大切です。
借地権を相続したときの手続きと地主への連絡

相続では、被相続人の地位を相続人が包括的に承継するため、一般に借地権を相続すること自体に地主の承諾は不要と考えられます。
ただし、契約書の名義、地代の支払先、連絡先を整えるため、相続開始と相続人を地主へ早めに伝えることが実務上重要です。無断譲渡とは異なりませんが、連絡を怠ると地代請求や更新時の調整が難しくなります。
東京家庭裁判所の遺産目録の記載例でも、借地権は遺産として、敷地の登記事項証明書と賃貸借契約書を確認して記載するよう案内されています。
| 順番 | 行うこと | 主な資料 |
|---|---|---|
| 1 | 契約・建物・地代の状況を確認 | 賃貸借契約書、登記事項証明書 |
| 2 | 相続人と遺産分割の方針を整理 | 戸籍、遺言書、遺産分割協議書 |
| 3 | 地主へ相続発生と連絡先を通知 | 死亡の事実、相続人の連絡先 |
| 4 | 建物の相続登記・必要な名義整理 | 遺産分割協議書、登記原因証明情報 |
地主にまず連絡し、契約を読み直す
この章では、地主にまず連絡し、契約を読み直すを契約書・戸籍・評価資料などの一次資料で確認し、判断を急がずに整理することが大切です。
建物の相続登記と借地契約の整理は別の手続き
この章では、建物の相続登記と借地契約の整理は別の手続きを契約書・戸籍・評価資料などの一次資料で確認し、判断を急がずに整理することが大切です。
借地権の相続税評価と申告で注意する点

借地権は、地域の借地権割合や自用地価額などをもとに評価します。普通借地権と定期借地権等では評価方法が異なるため、契約の種類を確定してから評価することが欠かせません。
相続税の申告が必要かは、借地権、建物、預貯金などすべての財産と債務を合算して判断します。申告・納税期限は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。詳しくは国税庁 No.4102を確認してください。
| ケース | 評価・確認の軸 | 注意点 |
|---|---|---|
| 普通借地権 | 自用地価額と借地権割合 | 路線価図・評価倍率表で地域の割合を確認 |
| 定期借地権等 | 残存期間と経済的利益 | 普通借地権の割合をそのまま使わない |
| 借地上の建物 | 建物の評価と利用状況 | 借地権と二重計上しないよう申告書を整理 |
借地権割合は地域ごとに異なる
この章では、借地権割合は地域ごとに異なるを契約書・戸籍・評価資料などの一次資料で確認し、判断を急がずに整理することが大切です。
契約の種類と残存期間が評価に影響する
この章では、契約の種類と残存期間が評価に影響するを契約書・戸籍・評価資料などの一次資料で確認し、判断を急がずに整理することが大切です。
借地権を相続した後に売却・更新・相続放棄を考える場合

借地権を第三者へ譲渡する場合は、通常、地主の承諾や契約上の手続きが関係します。相続による承継と、相続後の売却・譲渡は別問題です。
相続放棄を検討する場合は、借地権だけを選んで放棄することはできず、原則として相続全体を放棄します。期限は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。借地権の価値だけでなく、未払地代、建物の管理費、他の財産・債務を含めて判断しましょう。
| 場面 | 先に確認すること | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 更新 | 満了日・更新料・更新拒絶条項 | 契約書と地主との協議状況 |
| 売却・譲渡 | 地主承諾・譲渡承諾料・買主 | 相続承継とは必要手続きが異なる |
| 相続放棄 | 他の資産と負債、3か月の熟慮期間 | 借地権のみの放棄はできない |
売却の前に地主承諾の要否を確認する
この章では、売却の前に地主承諾の要否を確認するを契約書・戸籍・評価資料などの一次資料で確認し、判断を急がずに整理することが大切です。
相続放棄は借地権だけを対象にできない
この章では、相続放棄は借地権だけを対象にできないを契約書・戸籍・評価資料などの一次資料で確認し、判断を急がずに整理することが大切です。
借地権の相続に関するよくある質問

地主へ連絡しないと借地権は失われますか?
相続で直ちに失われるものではありませんが、地代の支払いや更新に支障が出ないよう、相続人の連絡先と今後の支払い方法を早めに伝えましょう。
借地上の建物だけ相続できますか?
建物と借地権は別の権利ですが、建物を利用する前提となる借地権を無視して分けると支障が生じます。契約と建物を一緒に遺産分割で整理することが実務的です。
借地権があれば相続税申告は必ず必要ですか?
必ずしも必要ではありません。遺産全体が基礎控除額等を超えるか、特例の利用で申告が必要になるかを確認してください。
生前対策診断で将来の相続に備える

相続が起きてから必要な手続きを整理することも大切ですが、財産の内容、ご家族の関係、ご本人の希望を生前に確認しておくと、選べる対策が増えます。
SWATSの生前対策診断では、財産・家族構成・相続税の見通し・検討すべき手続きの優先順位を整理できます。
借地権 相続についても、借地権を含む不動産・契約関係を早めに確認しておくことが、将来の手続き負担や家族間の行き違いを減らす第一歩です。
まとめ

借地権は土地の所有権ではありませんが、相続財産として重要な価値を持つ権利です。契約書、地代、建物の登記、相続税評価を一体で確認し、地主との連絡を早めに進めることが大切です。
判断が難しい場合は、資料をそろえたうえで、税務・法務の両面から確認しましょう。
この記事を担当した税理士

税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
- 経歴
- 関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
- 一言
- 複雑な相続税申告や手続きは、専門知識と経験が不可欠です。税理士法人SWATSは法律事務所と連携し、安心のワンストップ対応を実現しています。

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