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被相続人の口座が不明な場合の調べ方

公開日:2026/08/24
更新日:2026/08/25

著者

税理士法人SWATS

代表 柴田 潤

関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。

被相続人の口座が分からない場合でも、通帳・郵便物・口座振替・端末の通知などから候補の金融機関を洗い出し、相続人であることを示して照会を進める方法があります。
大切なのは、見つけた情報をその場で終わらせず、死亡日時点の残高や取得書類を財産一覧にまとめることです。

被相続人の通帳が見つからない、古い通帳しかない、どの金融機関を使っていたか分からないという状況では、手続きが止まったように感じるかもしれません。
しかし、手がかりを分類し、候補先への照会結果を一覧にすることで、相続財産の全体像を少しずつ整理できます。

この記事では、被相続人の口座が不明なときに確認する手がかり、金融機関への照会、証券資料を含めた財産一覧化までの流れを解説します。個別の必要書類や受付方法は金融機関ごとに異なるため、照会前に必ず公式案内を確認してください。

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被相続人の口座が不明でも、手がかりから調べられる

口座調査を手がかりの確認から金融機関照会、財産一覧化へ進める流れ

口座番号や支店名が分からないからといって、直ちに調査を諦める必要はありません。まずは、被相続人が利用していた可能性のある金融機関を、残された資料や日常の支払いから候補として記録します。

候補ができたら、各金融機関の相続窓口に必要書類と照会方法を確認します。相続手続では、被相続人の死亡と申請者が相続人であることを示す書類が求められるのが一般的です。戸籍書類を複数の手続先へ提出する負担を抑えたい場合には、法務局の法定相続情報証明制度を利用できることがあります。ただし、一覧図の写し以外に必要な書類は利用先の金融機関へ事前に確認しましょう。

また、被相続人が生前にマイナンバーを付番していた預貯金口座については、相続時に口座の所在を確認する制度があります。対象や対象外の金融機関は、デジタル庁の預貯金口座付番制度で確認してください。これは候補を補う手段の一つであり、通帳・郵便物などからの個別確認も並行して進めることが大切です。

最初に集める手がかり

口座調査で確認する紙の資料、端末とメール、引落し通知の3分類

探し始める前に、資料を「紙」「毎月の支払い」「デジタル」「証券などの金融商品」に分けると、同じ場所を何度も確認せずに済みます。見つけた情報は、金融機関名が確定していなくても候補表に記録しておきましょう。

紙の資料から確認するもの

  • 通帳、キャッシュカード、定期預金証書、金融機関からの封筒
  • 年金の振込通知、公共料金・保険料・クレジットカードの口座振替通知
  • 確定申告書の控え、配当金計算書、取引残高報告書
  • 金庫、書類棚、引き出しなどにあるメモや保管書類

端末やメールから確認するもの

通帳を発行しないネット銀行では、アプリの通知、登録メール、ブラウザのブックマーク、利用明細のメールが手がかりになることがあります。端末内の情報を確認する際は、相続人間で共有すべき情報と、個人情報・契約上の取扱いを分けて慎重に扱いましょう。

候補表に残したい項目

候補表には、金融機関名または推測の根拠、支店名・口座番号の分かる範囲、見つけた資料、確認日、照会の進捗を記録します。たとえば「公共料金の引落通知で金融機関名を確認」「古い通帳で旧支店名のみ判明」のように、根拠ごとに残すと、後から照会先を見直しやすくなります。

候補の金融機関へ照会する進め方

相続人確認、必要書類の準備、金融機関への照会という3段階の流れ

候補金融機関が分かったら、いきなり払戻しを求めるのではなく、まず相続窓口へ連絡し、口座の有無の確認や残高証明書の請求に必要な書類を確認します。全国銀行協会の案内でも、口座名義人の死亡を金融機関が知った後は、預金の入出金などの取引が原則として制限されること、必要書類は相続の状況や取引内容で異なることが示されています。

照会前にそろえる書類の考え方

金融機関ごとに異なりますが、一般に、被相続人の死亡と相続関係を確認する戸籍書類、申請する相続人の本人確認書類、金融機関所定の依頼書などを求められます。相続の開始により被相続人の権利義務を承継するという基本は民法第896条で定められていますが、実際の受付条件、委任の可否、印鑑証明書の要否は必ず各金融機関の公式案内で確認してください。

支店や口座番号が不明なときの伝え方

候補となる金融機関に対し、被相続人の氏名、生年月日、住所の変遷、旧姓など、手元の資料で確認できる情報を整理して伝えます。支店が不明な場合に全店を対象に確認できるか、同じ金融機関内の定期預金や投資信託なども対象に含められるかは、照会時に確認するポイントです。

連絡前に残しておきたいこと

死亡の連絡後は引落しが止まることがあるため、公共料金、家賃、保険料、クレジットカードなど、被相続人名義口座からの継続的な支払いを先に一覧にします。支払いを続ける方法や口座変更のタイミングは、契約先と金融機関に確認して判断しましょう。

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照会結果を財産一覧にまとめる

照会結果を確認済みと未確認に分けて財産一覧で管理する方法

口座の存在が判明したら、各金融機関から得た情報を一つの財産一覧へ集約します。通帳の最終記帳額だけで判断せず、死亡日を基準とした残高証明書、必要に応じた取引履歴を取得するかを金融機関に確認してください。

記録する項目 確認する内容
金融機関・支店・口座種別 普通預金だけでなく、定期預金、外貨預金、投資信託なども確認する
基準日と残高 死亡日時点の残高であるか、証明書の基準日を記録する
取得書類 残高証明書、取引履歴、配当通知、取引残高報告書などを記録する
未確認事項 照会済みか、追加書類待ちか、証券・保険・不動産の確認が必要かを分ける

相続税の申告では、現金・預貯金等について口座種別、口座番号、金融機関名などを記載する様式があります。記載項目は国税庁の第11表の付表3の記載例も参考になります。実際の申告の要否や評価は、預貯金以外の財産、債務、相続人の状況を含めて確認してください。

課税対象となる財産の合計額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告は通常、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に必要です。詳しくは国税庁の相続税の申告と納税を確認し、口座調査が続いている場合も、期限から逆算して財産一覧を更新しましょう。

よくある質問

Q. 通帳もキャッシュカードもない場合、口座を調べられませんか?

通帳などがなくても、郵便物、口座振替、年金の振込通知、端末やメールの通知から候補金融機関を探せます。候補先が見つかったら、相続窓口に必要書類と照会方法を確認して進めます。手がかりが少ない場合ほど、確認した資料と照会した金融機関を候補表に残すことが重要です。

Q. 相続時の口座照会だけで、全ての口座が分かりますか?

預貯金口座付番制度に基づく確認は、付番されている口座の所在を確認する手段です。対象外の金融機関や付番されていない口座があり得るため、デジタル庁の公式案内で制度の対象を確認し、手がかりからの個別照会も組み合わせます。

Q. 口座が見つかったら、すぐに引き出してよいですか?

金融機関が死亡を知ると、口座取引は原則として制限されます。払戻し・解約の手続や必要書類は、遺言書や遺産分割の状況で異なるため、自己判断で進めず、金融機関の相続窓口へ確認してください。

Q. 銀行以外に確認したい金融資産はありますか?

証券会社からの取引残高報告書や配当通知、保険に関する郵便物、信用金庫等の出資に関する書類も確認対象になります。預貯金だけの表にせず、確認済み・未確認を含めて同じ財産一覧で管理すると、次の手続を検討しやすくなります。

【実務のご相談】被相続人の口座が分からず、財産調査の進め方に迷ったケース

古い通帳を起点に候補金融機関を整理して財産一覧を作る相談事例の流れ

8-1.お客様からのご相談内容

以下は、SWATSに寄せられた相談内容をもとに、個人を特定できないよう整理した内容です。

亡くなった親の古い通帳は見つかったものの、他にどの金融機関を利用していたのか分からず、口座調査をどこまで行えばよいか迷ったというご相談です。

相続手続きや相続税の確認に漏れがないようにしたい一方で、預貯金以外の証券や保険も含めて何を探すべきか不安を感じていました。

8-2.専門家の回答

古い通帳だけで調査を終えず、郵便物、キャッシュカード、取引明細、配当通知、保険関係の書類などから候補を洗い出します。

金融機関への照会では、相続関係を示す書類が必要になることがあるため、戸籍の確認と財産調査を並行して進めると効率的です。

確認済み・未確認の金融機関や資産を同じ財産一覧で管理し、口座だけでなく証券・保険・不動産も含めて全体像を整理します。

被相続人の口座や資料整理に不安がある方へ

相続アシストの相談で口座調査と財産一覧の整理を進める流れ

口座や証券資料がそろわない場合は、金融機関を一つずつ探す前に、相続人の確認、手がかりの仕分け、財産一覧の作成を並行して進める必要があります。
相続アシストでは、相続税申告と周辺手続きに必要な情報整理をまとめて相談できます。何から確認すればよいか分からない段階でも、資料の整理と次に確認する事項から相談できます。

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まとめ

被相続人の口座が不明なときは、通帳の有無だけで判断せず、郵便物、口座振替、端末の通知、証券資料から候補を作ることが出発点です。
候補金融機関への照会結果は、死亡日時点の残高や取得書類とともに財産一覧へまとめ、未確認の金融資産も見える形にしましょう。
相続人や財産の状況で必要な確認は変わるため、公的一次情報と各金融機関の案内を確認しながら進めることが大切です。

この記事を担当した税理士

税理士法人SWATS

代表 柴田 潤

経歴
関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
一言
複雑な相続税申告や手続きは、専門知識と経験が不可欠です。税理士法人SWATSは法律事務所と連携し、安心のワンストップ対応を実現しています。

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