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遺留分侵害額請求後の相続税申告書の書き方|解決前後の手続き

公開日:2026/04/28
更新日:2026/04/28
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目次

遺留分侵害額請求が発生した後の相続税申告は、手続きが複雑になります。
遺留分の金額が確定したタイミングによって、申告書の書き方や手続きが大きく異なるためです。
財産を渡す側は払い過ぎた税金の還付を受ける「更正の請求」を、受け取る側は追加で納税する「修正申告」などが必要になります。

本記事では、遺留分をめぐる争いが解決する前と後、それぞれの状況に応じた相続税申告書の書き方と手続きを解説します。

遺留分侵害額請求と相続税申告の基本的な関係

遺留分侵害額請求が行われると、相続人間での財産の取得額が変動します。
例えば、請求によって特定の相続人が他の相続人へ金銭を支払った場合、支払った側の相続財産は減少し、受け取った側の相続財産は増加します。
相続税は各相続人が取得した財産の価額を基に計算されるため、この財産の変動に応じて、それぞれの相続人が納めるべき相続税額も変わります。

そのため、当初の申告内容を修正する手続きが必要不可欠です。

2019年の法改正を反映した「遺留分侵害額請求」の概要

2019年7月1日に施行された改正民法により、従来の遺留分減殺請求は遺留分侵害額請求へと名称と内容が変わりました。
最も大きな変更点は、これまで不動産などの現物で返還を求める権利だったものが、侵害額に相当する金銭の支払いを請求する権利に一本化された点です。
この改正により、相続税の計算上、遺留分侵害額の支払いは確定した債務として扱われることになり、税務上の取り扱いも明確化されました。

遺留分の金額が確定するタイミングで申告方法は2つに分かれる

遺留分に関する相続税申告の手続きは相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)を基準として、遺留分の金額が確定したタイミングで大きく2つに分かれます。
申告期限までに金額が確定していれば、その内容を反映した当初申告が可能です。
一方で、申告期限を過ぎてから金額が確定した場合は、一度申告を済ませた後で、財産を渡す側は「更正の請求」、受け取る側は「修正申告」や「期限後申告」といった手続きを行うことになります。

【解決後】遺留分の金額が確定した後の相続税申告書の書き方

遺留分侵害額に関する当事者間の合意や裁判上の和解、判決などによって金額が確定した場合、その結果を相続税申告に反映させる必要があります。
財産を支払う側と受け取る側では、行うべき手続きの名称や申告書の書き方が異なります。

ここでは、それぞれの立場に応じた具体的な手続きと申告書の記入方法について解説します。

【財産を渡した側】払い過ぎた税金の還付を受ける「更正の請求」の手続き

遺留分侵害額を支払った相続人は、当初の申告で取得した財産額が過大だったことになり、結果として相続税を納め過ぎている状態になります。
この納め過ぎた税金を取り戻すために、税務署長に対して「更正の請求」という手続きを行います。
この請求が認められると、過払い分の税金が還付されます。

請求手続きは、国税庁のウェブサイトで入手できる所定の「更正の請求書」を使用して行います。

更正の請求ができる期間と提出が必要な書類一覧

更正の請求ができる期間は、原則として遺留分侵害額の支払いに関する調停の成立や判決の確定など、金額が確定した事実を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
手続きには「相続税の更正の請求書」のほか、請求の根拠となる書類が必要です。
具体的には、遺留分について合意した内容がわかる「遺産分割協議書」や「合意書」、裁判所が関与した場合は「調停調書謄本」や「判決書謄本」などを添付して提出します。

「更正の請求書」と相続税申告書への具体的な記入方法

「更正の請求書」には、申告した税額と本来納めるべきだった正しい税額、還付を求める金額などを記載します。
請求の理由欄には「遺留分侵害額請求による相続分の変動」といった事実を具体的に記入します。
また、添付書類として、遺留分侵害額の支払いを反映させて再計算した相続税申告書(第1表、第11表、第15表など)を作成し直して提出する必要があります。

特に、第15表(相続財産の種類別価額表)で遺留分相当額を差し引くなど、正確な再計算が求められます。

【財産を受け取った側】新たに追加で納税するための「修正申告」の手続き

遺留分侵害額として金銭などを受け取った相続人は、当初の申告時よりも取得財産が増加するため、追加で相続税を納める義務が生じます。
この場合、税務署に対して「修正申告」を行います。
修正申告は、当初の申告内容に誤りや漏れがあり、納める税額が過少であった場合に、それを訂正するための手続きです。

修正申告書を提出し、増加した税額分を納付することで、納税義務を正しく果たすことになります。

修正申告の期限と延滞税などのペナルティについて

修正申告の提出期限は、遺留分侵害額が確定した事実を知った日の翌日から4ヶ月以内と定められています。
この期限内に自主的に修正申告と納税を済ませれば、本来課される「過少申告加算税」は免除されます。

ただし、法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて「延滞税」は発生します。
もし税務調査などで指摘されてから修正申告を行うと、過少申告加算税が課されるため、早めの対応が重要です。

「修正申告書」と相続税申告書への具体的な記入方法

修正申告では「相続税の修正申告書」を使用します。
この申告書の第1表に、当初申告した税額と修正後の正しい税額、そして追加で納付する税額を記入します。
更正の請求と同様に、添付書類として遺留分として取得した財産額を反映させた相続税申告書一式(第1表、第11表、第15表など)を再作成して提出します。

これにより、どの財産が増加し、税額がどのように変わったのかを税務署に明確に示します。

【財産を受け取った側】初めて申告する場合の「期限後申告」の手続き

当初の相続では財産を取得せず、相続税の申告義務がなかった相続人が、遺留分侵害額請求によって金銭などを受け取り、その結果、取得財産の合計額が基礎控除額を超えた場合、新たに相続税の申告義務が発生します。
この場合は修正申告ではなく、通常の相続税申告書を用いて「期限後申告」を行うことになります。
申告期限を過ぎているため、無申告加算税や延滞税が課される可能性がありますが、速やかに申告と納税を行うことが重要です。

【解決前】申告期限までに遺留分の話し合いが終わらない場合の対応

相続税の申告期限である10ヶ月以内に、遺留分に関する話し合いや調停がまとまらないケースは少なくありません。
しかし、申告期限は遺産分割協議の状況にかかわらず進行するため、納税者は何らかの形で申告を済ませる必要があります。
ここでは、遺留分が未確定のまま申告期限を迎えた場合の具体的な対応方法について解説します。

原則として遺言書や法定相続分どおりの内容で一旦申告する

申告期限までに遺留分の金額が確定していない場合、その未確定の権利を申告書に反映させることはできません。
そのため、相続税の申告は、遺言書があればその内容に従い、遺言書がなければ法定相続分に基づいて取得したものとして、一旦計算して行います。

この段階では、遺留分侵害額請求がされている事実は考慮せずに申告書を作成します。
そして、後日、遺留分の金額が確定した時点で、改めて更正の請求や修正申告といった精算手続きを行います。

「未分割」で申告すると税金の特例が使えず不利になる可能性

遺産の分割協議がまとまらないからといって、財産が「未分割」の状態で相続税申告を行うと、大きなデメリットが生じる可能性があります。
具体的には、「配偶者の税額軽減」や、自宅や事業用地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」といった、相続税額を大幅に軽減できる特例が適用できません。

これらの特例は分割が確定していることが適用要件となるため、未分割申告では本来よりもはるかに高額な税金を一旦納める必要が出てきます。

「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して特例を維持する

未分割申告による不利益を避けるため、「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を当初の申告書に添付して提出する方法があります。
この書類を提出しておくことで、申告期限から3年以内に遺産分割が確定すれば、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」の適用を受けるための更正の請求が可能になります。

これにより、一旦は特例を適用せずに納税したとしても、後から差額の還付を受け、特例のメリットを確保できます。

遺留分侵害額請求で注意すべき相続税のポイント

遺留分侵害額請求が関わる相続税申告では、特有の税務上の注意点が存在します。
2019年の民法改正による金銭債権化の影響や、金銭以外の資産で支払いを行った場合の課税関係など、事前に知っておくべきポイントを解説します。

遺留分侵害額を金銭で支払った場合は債務控除の対象になる

2019年の民法改正により、遺留分侵害額の支払いは金銭債務として扱われることになりました。
これにより、遺留分侵害額を支払う義務を負った相続人は、その確定した支払額を自身の相続財産から差し引く「債務控除」の対象とすることができます。

相続財産から債務を控除することで、課税対象となる財産の価額が減少し、結果として相続税の負担が軽減されます。
この取り扱いは、改正後の明確なメリットの一つです。

不動産などの現物で支払うと譲渡所得税が課されることがある

遺留分侵害額の支払いを、金銭の代わりに不動産や株式などの資産で行う「代物弁済」も可能です。
しかし、この方法を選択した場合、支払う側には注意が必要です。
税務上、代物弁済は「資産をその時点の時価で売却し、その代金で債務を返済した」とみなされます。

そのため、もし渡した資産の時価が取得した時の価額を上回っている場合、その差額に対して譲渡所得税が課される可能性があります。

遺留分と相続税申告に関するよくある質問

遺留分が関わる相続税申告は手続きが複雑なため、多くの疑問が生じます。
ここでは、特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。

遺留分の話し合い中に相続税の申告期限が迫っている場合、どうすればよいですか?

遺留分が未確定の状態で、一旦遺言書や法定相続分どおりに申告します。
その際「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付すれば、後から配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用が可能です。
金額確定後に更正の請求や修正申告で精算します。

遺留分として支払った金銭は、相続税の計算上、債務として控除できますか?

はい、控除できます。
2019年の民法改正により、遺留分侵害額の支払いは金銭債務として扱われるため、支払った相続人の相続財産から債務として控除することが可能です。
これにより課税対象額が減り、相続税の負担が軽減されます。

遺留分の代わりに不動産を渡した場合、他に税金はかかりますか?

はい、譲渡所得税が課される可能性があります。
金銭の代わりに不動産などで支払うと、その資産を時価で譲渡したとみなされます。
そのため、不動産の取得時からの値上がり益に対して、渡した側に譲渡所得税がかかることがあります。

まとめ

遺留分侵害額請求が関わる相続税申告は、遺留分の金額が確定するタイミングによって手続きが異なります。
申告期限までに解決しない場合は、一旦、遺言書や法定相続分に基づいて申告し、解決後に精算手続きを行います。
金額確定後は、財産を渡した側は払い過ぎた税金の還付を受ける「更正の請求」を、受け取った側は追加納税のための「修正申告」または「期限後申告」が必要です。

それぞれの手続きには期限が設けられており、正しい手順を踏むことが重要になります。

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