

著者
税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
目次
「家督相続」という言葉を見て、今の相続にも関係するのか疑問に感じている方は多いでしょう。
家督相続は旧民法の制度で現在は廃止されていますが、過去の相続関係によっては影響する場合があります。
本記事では、制度の基本から現行相続との違い、適用可否の判断方法までを整理します。
家督相続とは何か(制度の定義と結論)

家督相続とは、旧民法に基づき「戸主(家の代表者)」の地位と財産を、原則として1人の相続人がすべて承継する制度です。
ただし、この制度は1947年(昭和22年)の民法改正によって廃止されており、現在の相続には原則として適用されません。
家督相続は、戦前の日本で採用されていた「家制度」を前提とした相続方式です。
当時は戸主が家の代表として財産や権利を一括して管理し、戸主の死亡や隠居により新たな戸主が選ばれ、その人が財産をまとめて承継していました。
家督相続の基本的な仕組み

家督相続では、財産は複数人で分けるのではなく、原則として1人がすべて承継します。
多くの場合、長男が家督相続人となりましたが、これは家を継ぐ者が優先される制度設計によるものです。
具体的には、次のような特徴があります。
・戸主の地位と財産を同時に承継する
・相続人は原則として1人のみ
・長男が優先されるが、条件によっては他の人が相続する場合もある
・他の家族は財産を相続できないことがある
現在のように配偶者や子ども全員で財産を分ける仕組みとは、大きく異なります。
現在は法的に廃止されている制度
家督相続は、1947年の民法改正によって廃止されました。
現在は法定相続制度が採用されており、配偶者や子どもなどの相続人が法律で定められた割合に基づいて財産を承継します。
ただし、民法改正より前に発生した相続については、旧民法の家督相続が適用された状態が現在まで影響している可能性があります。
そのため、古い戸籍や過去の相続関係を調査する場合には、家督相続の理解が必要になることがあります。
家督相続は現在の制度では使われていませんが、過去の相続関係を正しく理解するための重要な制度です。
家督相続と現在の相続制度の違い(旧民法と現行民法の比較)

家督相続と現在の相続制度の最大の違いは、相続人が1人か複数人かという点です。
家督相続では原則として1人がすべてを承継しましたが、現在の法定相続では複数の相続人が法律で定められた割合に基づいて財産を分けて相続します。
これは、1947年の民法改正によって家制度が廃止され、個人単位の相続に変更されたためです。
家督相続と法定相続の比較

以下は、家督相続と現在の法定相続の主な違いです。
・家督相続:原則として1人の相続人がすべての財産と戸主の地位を承継する
・法定相続:配偶者や子どもなど複数の相続人が法律で定められた割合に基づいて相続する
・家督相続:家の存続を目的とした制度
・法定相続:相続人個人の財産権を保護する制度
・家督相続:戸主という法的地位の承継が前提
・法定相続:戸主という制度は存在せず、個人単位で相続が発生する
制度の目的と考え方の違い
家督相続は家を維持することを目的とした制度でした。
これに対して現行民法では、相続人個人の権利の保護が重視されています。
遺言がない場合は、法定相続分に従って財産が分けられます。
戸主制度の有無による違い
家督相続は戸主制度と密接に結びついていましたが、現在は戸主という法的地位は存在しません。
長男であることだけを理由にすべて相続する制度は、現在の法律では認められていません。
家督相続が現在の相続で問題になるケース(適用可能性の理解)

家督相続は現在の制度では適用されませんが、
民法改正前に発生した相続については、現在でも影響する可能性があります。
民法改正前に発生した相続が未処理の場合
1947年以前に発生した相続が正式に整理されていない場合、現在の相続手続きで当時の家督相続関係を確認する必要があります。
戸籍をさかのぼり、誰が戸主となり、誰が相続人だったのかを確認することが求められます。
古い不動産や資産の名義が過去のままの場合
不動産の名義が戦前の戸主のままの場合、現在の相続手続きの前提として家督相続の確認が必要になる場合があります。
相続人の間で長男がすべて相続すると主張された場合
長男がすべて相続できるかどうかは、相続が発生した時期によって異なります。
民法改正後の相続では、家督相続は適用されません。
家督相続が適用されるか判断する方法(確認手順と判断基準)

家督相続の適用可否は、相続発生時期と戸籍の内容を確認することで判断できます。
家督相続の適用可否を判断する手順

1.被相続人の死亡日を確認する
2.戸主の承継履歴を確認する
3.現在の財産の名義人を確認する
判断時の確認ポイント
・相続発生時期が1947年5月2日より前か
・戸籍上の戸主の変更履歴
・財産の名義
制度の適用可否に不安がある場合は、専門家への相談が重要です。
家督相続に関するよくある誤解と注意点(誤判断防止)

家督相続は現在の制度では適用されません。
長男が必ず相続する制度は現行民法では存在しません。
ただし、過去の相続関係の確認では重要になる場合があります。
家督相続に関するよくある質問(FAQ)

家督相続は現在も有効ですか
現在新たに発生する相続には適用されません。
ただし、1947年の民法改正前に発生した相続については影響する可能性があります。
長男がすべて相続する制度は今もありますか
現在の法律では、長男であることだけを理由にすべてを相続することはできません。
家督相続はどう確認しますか
戸籍や相続発生時期を確認することで判断できます。
まとめ
家督相続は旧民法に基づく制度であり、現在の相続には原則適用されません。
ただし、民法改正前に発生した相続関係が現在の手続きに影響する場合があります。
相続制度を正しく理解するためには、相続発生時期と戸籍の確認が重要です。
特に古い不動産や未整理の相続がある場合には、家督相続の確認が必要になることがあります。
現在の相続は法定相続制度に基づいて行われるため、長男のみが相続する仕組みではありません。
制度の適用可否に不安がある場合は、戸籍の確認や専門家への相談を行うことが重要です。
この記事を担当した税理士

税理士法人SWATS
代表 柴田 潤
- 経歴
- 関西大学商学部卒業後、2002年に税理士法人SWATSに入社。資産税・相続税を専門とし、税務と法務の両面から相続をサポート。登録番号:第132969号/近畿税理士会神戸支部所属。
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