目次
遺族年金とは、家計を支えていた家族が亡くなった際に、残された遺族の生活を支えるための公的年金制度です。
この記事では、遺族年金をもらえる条件や受け取れる金額の計算方法をわかりやすく解説します。
また、2028年に予定されている制度改正のポイントも紹介し、制度の変更点をわかりやすい言葉で説明します。
・遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります
・受給条件は、亡くなった方の加入制度、保険料納付状況、遺族の年齢や子の有無で決まります
・遺族基礎年金は2026年度で年額847,300円を基本に、子の人数に応じて加算されます
・遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行予定で、子のいない若年層の給付期間などが変わります
遺族年金とは?もしもの時に家族を支える公的年金制度

遺族年金とは、日本の公的年金制度に加入している方が亡くなった場合に、その方によって生計を維持されていた遺族に支給される年金です。
これは、国民の生活を保障する社会保険制度の一環であり、国が運営しています。
一家の働き手を失った家族の生活を守るための大切な仕組みとして、もしもの時の経済的な支えとなる役割を担っています。
「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2階建て構造を解説
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、日本の公的年金制度と同じ2階建て構造になっています。
遺族基礎年金は、主に自営業者などが加入する国民年金の制度で、18歳未満の子がいることが受給の基本条件です。
一方、遺族厚生年金は会社員や公務員が加入する厚生年金の制度で、より幅広い遺族が対象となります。
両者の違いは、亡くなった方の年金加入状況によって決まります。
遺族年金は非課税なので確定申告は不要
遺族年金は、所得税や住民税がかからない非課税所得として扱われます。
そのため、遺族年金を受け取っても税金を納める必要はなく、確定申告も不要です。
ただし、故人の所得に対する準確定申告や、年金以外の所得がある場合は別途申告が必要になることがあるため注意が必要です。
遺族年金そのものに関しては、税金の心配はありません。
【種類別】遺族年金をもらえる人の具体的な条件

遺族年金をもらえる人の範囲や要件は、年金の種類によって異なります。
遺族基礎年金は主に「子のある配偶者」または「子」が対象者となり、子の年齢が重要な条件です。
一方、遺族厚生年金は対象者の範囲がより広く、配偶者や子のほかに父母や孫、祖父母も含まれる可能性があります。
ここでは、それぞれの具体的な条件を詳しく見ていきます。
【遺族基礎年金】「18歳未満の子がいる配偶者」または「子」が対象
遺族基礎年金を受給できるのは、亡くなった方によって生計を維持されていた「18歳になった年度の3月31日までの子(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)がいる配偶者」、またはその「子」自身です。
子がいない配偶者や、子がいても年齢要件を満たさない場合は対象外となります。
この制度は、子育て世帯の生活を保障することに主眼が置かれています。
【遺族厚生年金】対象者の範囲と優先順位をチェック
遺族厚生年金の対象者は範囲が広く、受給には優先順位が定められています。
最も優先順位が高いのは妻または55歳以上の夫、そして子(18歳年度末まで)です。
これらの方がいない場合は、55歳以上の父母(父親・母親)、孫(18歳年度末まで)、55歳以上の祖父母(祖父・祖母)の順で受給権が移ります。
親や祖父母が受け取るためには、亡くなった方との生計維持関係が必要です。
遺族年金がもらえない主なケースとは?

遺族年金は、亡くなった方の保険料納付状況や、遺族の年収などの条件を満たさない場合は受給できません。
また、受給資格があっても、結婚などによってその権利が無くなるケースもあります。
ここでは、遺族年金がもらえない代表的な3つのケースについて具体的に解説します。
国民年金の保険料納付期間が不足している場合
亡くなった方の国民年金の保険料納付期間が不足している場合、遺族年金は支給されません。
原則として、死亡日の前々月までの公的年金の加入期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上必要です。
ただし、死亡時に65歳未満であれば、死亡日の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ受給できる特例があります。
亡くなった人との生計維持関係が認められない場合(年収850万円以上など)
遺族年金を受け取るには、亡くなった方によって生計を維持されていたことが条件です。
具体的には、遺族の前年の年収が850万円未満(所得655.5万円未満)であることが基準となります。
この年収基準を超えている場合、生計維持関係が認められず、遺族年金は支給されません。
扶養に入っていたかどうかにかかわらず、同居や仕送りといった実態と年収の両面から判断されます。
子のいない30歳未満の妻は受給期間が5年間に限定される
遺族厚生年金において、亡くなった夫の死亡時に30歳未満で子がいない妻が受け取る場合、受給期間は5年間に限定されます。
これは、若年で単身の妻には再就職などによって自立した生活を再設計する時間があるという考えに基づく特例です。
ただし、5年間の受給期間が終了する前に30歳になったとしても、期間が延長されることはありません。
遺族年金はいくらもらえる?金額の計算方法とモデルケース

遺族年金で毎月いくらもらえるかは、遺族基礎年金と遺族厚生年金で計算方法が大きく異なります。
遺族基礎年金は子の人数によって金額が決まる定額制ですが、遺族厚生年金は亡くなった方の現役時代の給与や加入期間によって変動します。
ここでは、それぞれの平均的な金額や具体的な計算方法を解説します。
【遺族基礎年金】受給額は定額!子の人数に応じて加算される
遺族基礎年金の年金額は、2026年度(令和8年度)において、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合、基本額が年額847,300円です。
この基本額に、子の人数に応じた加算がつきます。
1人目と2人目の子にはそれぞれ243,800円、3人目以降の子には1人あたり81,300円が加算されます。
例えば、子が2人いる場合の年金総額は、847,300円に2人分の加算額487,600円(243,800円×2)を足して、年額1,334,900円(月額約111,242円)となります。
【遺族厚生年金】亡くなった方の給与や加入期間で金額が変動する仕組み
遺族厚生年金の金額は、亡くなった会社員や公務員の方の厚生年金加入期間と、その間の給与(平均標準報酬額)に基づいて計算されます。
原則として、その方が受け取るはずだった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が支給額となります。
夫の加入期間が短い場合でも、300カ月(25年)加入したとみなして計算する特例があるため、一定額が保障される仕組みです。
共済年金も同様の考え方で計算されます。
一定の条件を満たす妻に支給される「中高齢寡婦加算」とは
中高齢寡婦加算とは、遺族厚生年金を受給している一定の条件を満たす妻に対して、40歳から65歳になるまで上乗せされる加算制度です。
夫が亡くなった時に40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない妻などが対象となります。
子が成長して遺族基礎年金が受けられなくなった後、自身の老齢基礎年金が支給されるまでの生活を支える制度で、加給年金とは別の仕組みです。
2026年度時点の加算額は年額635,500円です。
【2028年制度改正】遺族年金の受給資格はどう変わる?

2025年6月に年金制度改正法が成立し、遺族厚生年金の見直しは2028年4月に施行予定です。
今回の改正では、男女で異なっていた受給要件を見直し、子のいない若年層を中心に原則5年間の有期給付へ移行します。
ただし、すでに受給している方、60歳以降に受給権が発生する方、18歳年度末までの子を養育している方、2028年度に40歳以上となる女性は原則として影響を受けません。
ここでは、主な変更点と対象者への影響を解説します。
遺族厚生年金の男女差是正に向けた見直しのポイント
現在の遺族厚生年金制度では、子のない妻は年齢によって受給期間が異なり、子のない夫は原則55歳以上という年齢要件があります。
2028年4月からの見直しでは、この男女差を解消し、子のいない60歳未満の男女は原則5年間の有期給付となります。
施行直後に対象となる女性は、18歳年度末までの子がいない方のうち、2028年度末時点で40歳未満の方です。
有期給付には加算が上乗せされ、現在の遺族厚生年金額の約1.3倍となるほか、障害状態にある方や収入が十分でない方には継続給付があります。
改正によって自分の受給資格に影響があるか確認しよう
改正の影響は、子の有無、年齢、受給権が発生する時期によって異なります。
特に、子のいない60歳未満の方は、5年間の有期給付や継続給付の条件を確認しておきましょう。
一方、すでに遺族厚生年金を受給している方や、2028年度に40歳以上となる女性などは今回の見直しの影響を受けません。
詳細は、厚生労働省の遺族厚生年金の見直しに関する案内で最新情報を確認してください。
遺族年金の申請手続きの流れと必要書類

遺族年金は、受給資格があっても自動的に支給されるわけではなく、自分で申請手続きを行う必要があります。
これを「請求主義」と呼びます。
手続きには多くの書類が必要となり、申請先も年金の種類によって異なるため、事前に流れを把握しておくことが大切です。
遺族年金の受給手続きについては「遺族年金の受給手続きガイド」で詳しく紹介しています。
申請窓口は年金事務所または市区町村役場
遺族年金の申請窓口は、請求する年金の種類によって異なります。
亡くなった方が国民年金のみに加入していた場合(遺族基礎年金のみを請求)は、住所地の市区町村役場が窓口です。
一方、厚生年金に加入していた場合(遺族厚生年金を請求)は、最寄りの年金事務所または年金相談センターで手続きを行います。
手続きをスムーズに進めるための必要書類一覧
遺族年金の申請には、年金請求書をはじめ、さまざまな書類が必要です。
一般的に、亡くなった方の年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、住民票の除票、請求者の住民票、所得証明書、受取先金融機関の通帳などが求められます。
状況によって必要書類が異なるため、事前に年金事務所や市区町村役場に確認すると手続きがスムーズに進みます。
面倒な相続手続きは専門家にお任せ!相続アシストのゼロタッチ申告

遺族年金の申請と並行して、相続税申告や不動産の名義変更など、多くの相続手続きを進めなければなりません。
これらの手続きは専門知識が必要で、書類の収集も煩雑です。
相続アシストでは、面倒な手続きをすべて専門家が代行する「ゼロタッチ申告」を提供しており、お客様の負担を大幅に軽減します。
遺族年金に関するよくある質問

遺族年金制度は複雑なため、多くの方がさまざまな疑問を抱えています。
例えば、共働きの場合や障害年金との関係、再婚した場合の取り扱いなど、個別の状況に応じた質問が寄せられます。
ここでは、遺族年金に関するよくある質問とその回答をまとめました。
共働きでも遺族年金は受け取れますか?
はい、受け取れます。
遺族年金を受け取るための要件は、亡くなった方によって生計を維持されていたことであり、共働きかどうかは直接関係ありません。
配偶者の年収が将来にわたって850万円未満と認められれば、要件を満たします。
そのため、共働きであっても、収入の要件を満たしていれば遺族年金をもらうことが可能です。
遺族年金を受給しながら働くと減額されますか?
いいえ、原則として減額されません。
遺族年金は、受給者本人の労働による収入(給与収入など)があっても、その収入額によって年金額が減額されることはありません。
ただし、社会保険の扶養の範囲を超える収入がある場合は、ご自身で社会保険に加入する必要があります。
また、65歳以上で自身の老齢厚生年金と併給する場合は調整が入ります。
遺族年金をもらっている人が再婚したらどうなりますか?
受給権を失います。
遺族年金を受給している方が再婚した場合、その時点で年金を受け取る権利がなくなります。
これは法律上の結婚だけでなく、事実婚(内縁関係)や、直系血族・直系姻族以外の人の養子になった場合も同様です。
離婚しても受給権は復活しないため注意が必要です。
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まとめ

遺族年金は、残された家族の生活を支えるための重要な公的制度ですが、その仕組みは複雑です。
受給資格や金額は個々の状況によって異なり、今後の法改正で内容が変わる可能性もあります。
制度を正しく理解し、もしもの時に備えることが、遺族のその後の生活や老後の安心につながります。
不明な点や手続きに不安がある場合は、年金事務所や専門家に相談することをおすすめします。

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